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丸ヱム製作所がマリンステンレス開発
【ねじ・ネジ・業界紙】†丸ヱム製作所(大阪府大東市野崎4―7―12。松元収社長)ではこのほど、海水をはじめとする塩害に万全の防錆力を発揮するステンレスねじ「マリンステンレスMS270」の開発に成功。同製品は、SUS316・二相鋼よりも優れた耐塩化物腐食特性や応用力腐食割れ抵抗などの特徴を備えていると共に、リサイクル %ならびにメンテナンスフリーを可能にする地球に優しい環境対応製品でもあることから、エコロジーのグリーン調達にも最適な商品として展開を図っていく。
マリンステンレスMS270は、ステンレス鋼の常識を超える夢の新素材Yus―270(新日鐵住金ステンレス†開発鋼種)が用いられ、同社が永年培ってきたステンレスファスナーにおける独創的発想と完成された技術力で多種多様な市場ニーズに対応したノウハウや新たな分野での需要を生み出す開発技術力などが駆使されて、ねじに応用できる生産加工技術を確立して製品化に成功した。このYus―270は、高Cr(クロム)・高Ni(ニッケル)にモリブデン・窒素・銅を加えて飛躍的に耐食性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼。海水に優れた耐食性・耐酸性などを実現することから、昨年8月に沖縄県初の公共交通機関(県内対人大量輸送)で開通したモノレールの“ゆいレール”の天井部分にも採用されるなど、海水等による塩害を嫌う多目的な分野へと広がりをみせるスーパーステンレス鋼である。
一方、ステンレスファスナーのトップメーカーで知られる丸ヱム製作所には、ステンレスに関する様々な相談や要望が持ち込まれるなかで、海中・食塩等の塩害やプール・貯水・浄水等の塩素雰囲気に悩まされる業界からは「錆びない万全のステンレスねじ」を望む声が多数寄せられていた。市場には純チタンにも匹敵する高耐食性・高強度を持つモリブデンを含む高級ステンレス鋼が流通していたものの、それらは高コスト面などから需要家のニーズに応えられないとの判断をおこない、そこで材料メーカー(当時は新日鐵)へと投掛けたところスーパーステンレス鋼のYus―270が該当材質に提案された。材料形状としては板状でしかなかった同ステンレス鋼を、ねじ生産に使用できる棒・線材へと開発改良がおこなわれ、丸ヱム製作所の有する生産技術等を以って、ねじへの加工が可能となった。海・海岸部で使えることからマリンの「M」と、塩害(ソルト)に強くて材質はスーパーステンレス鋼の意味から「S」を組み入れて、製品名を「マリンステンレスMS―270」と決定した。
特徴は、†海水等の塩化物イオンを含む溶液中や塩素雰囲気に対して優れた耐食性を発揮†常温における引張り強さ・耐力はSUS304、SUS316と同等†硫酸・塩酸・有機酸にも良好な防食性能の耐酸性†塩化物に対しても応力腐食割れ抵抗を発揮。また、リサイクル %ならびにメンテナンスフリーを可能とし、ライフサイクルコストからも安価で、地球に優しく環境に対応した工業材料・ステンレスねじとなる。
現在のところ受注生産対応であるが、製造できる形状は六角ボルト・小ねじ類等で、サイズはM4〜M12まで。各製品ともに、頭部にはソルト・スーパーステンレス鋼の「S」マークを刻印する。相手部品となる六角ナットも提供可能な体制を準備中。用途は、海中(漁礁、マリン関係)・防蝕業界(湾岸防食)・食塩(食品機械)などの塩害、プール・貯水・浄水・トンネル補修工事・沖縄や塩害地域などの塩素雰囲気下の過酷条件に耐えられ、様々な構造物・製品締結へのステンレスねじとして最適使用できる。
塩化物環境での耐局部腐食性に優れた材質をみると、ステンレス鋼はSUS304から順にSUS316L・SUS317L、次いでSUS329(J4L・J3L)であり、その上となると高級材質のチタン材があげられ、マリンステンレスはSUS329以上の性能でチタン材に比べ導入しやすい位置付けの材質となる。
同社では、マリンステンレスはステンレス鋼の中でもよりチタン材に近い最も優れた耐食性を備えることから、既に多数の販売実績を誇る高強度・高靭性等のパーフェクトステンレス550シリーズと併せて、ステンレス市場をはじめとする多方面での販促需要開拓の展開を図っていく。また、地球環境に優しい製品特性を活かして、エコロジーのグリーン調達に適した製品としてのアピールも進める。
なお、全事業所を対象にした環境マネジメントシステムISO14001が、4月中に英国審査機関のBVQIより認証取得の予定である。
*この記事は、 2004年3月23日 にWEBで公開したものです。
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- 丸ヱム製作所がマリンステンレス開発 -- 2004/03/24 水曜日