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月桂冠など、スーパー酵母によるバイオエタノール生産技術を共同開発

ニュースリリース|バイオエタノール|

 月桂冠総合研究所は、化石燃料に代わる新しい燃料として期待されているバイオエタノールの新たな生産技術を開発しました。もみ殻や稲わらなど、食用でない植物原料からも直接エタノールが生産できる画期的な技術です。麹菌の遺伝子を清酒酵母に組み込んだ「スーパー酵母」により実現しました。植物を発酵可能な状態にするための前処理は、従来の化学薬品を使う方法に拠らず、高温・高圧状態の水で行います。

 本研究は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の革新技術開発研究事業の一環として、東北大学、神戸大学、京都大学の研究者らと共に取り組みました。その成果を3月28日、社団法人日本農芸化学会の2008年度大会(会場:名城大学=名古屋市天白区)で発表します。

 バイオエタノールの原料となる植物のセルロースは、化学的に安定し強固な構造を持っているため、まず「亜臨界水処理」と呼ぶ方法で前処理することで構造を弱め発酵可能な状態にします。「亜臨界」では、水が150~370度の高温で高圧の状態にあり、強い酸性を示しますが、温度や圧力が下がると速やかに中性に戻ります。臨界点(水の場合374度、218気圧の高温・高圧)を超える「超臨界」状態での処理よりも簡易な装置で、植物のセルロースを前処理できます。すでに実用化されている硫酸など化学薬品による前処理に比べ、環境への影響や安全性の面ですぐれています。

 アルコールを作る「スーパー酵母」は、麹菌から見出したセルロース分解酵素を作る遺伝子を清酒酵母に組み込むことで、酵母の細胞表面へ、酵素を千手観音の手のように高密度に並べたものです。

 酒造りでは通常、「麹」が米のデンプンを糖に分解し、一方でその糖を「酵母」によって発酵させるという2つの経路が進行してアルコールが作られます。今回開発したスーパー酵母には、麹菌の機能を組み込んでいるため、亜臨界水で前処理したセルロースから単独でエタノールを作ることができます。

 「亜臨界水処理」によりクリーンで簡易に前処理を行うと共に、「スーパー酵母」を用いたシンプルな方法で高効率にエタノールを生産する技術により、植物原料が発生する場所ごとに分散して、小規模なプラントを用いて処理することも可能です。もみ殻や稲わらからエタノールが生成できることを実験により確認しており、今後、実用に供せられるよう、アルコールの収量・収率を上げる研究などを進めていきます。

 日本の酒造りの中で培われてきた発酵技術、微生物や酵素の利用技術を、バイオエタノールの生産に生かすことが、地球環境問題解決の一助になればと考えています。

●学会発表について
学会名=日本農芸化学会2008年度大会
当研究の演題<講演番号>=スーパー酵母によるセルロースからのバイオエタノール生産(1)(2)(3)<3A11a08~3A11a10>
発表者=月桂冠総合研究所: 秦 洋二、嘉屋正彦、坂東弘樹、小高敦史、佐原弘師
東北大学: 阿尻雅文、南 公隆、大原 智、梅津光央、神戸大学: 近藤昭彦、京都大学: 植田充美
発表日時=2008年3月28日(大会3日目) 午前10時24分から
講演会場=名城大学天白キャンパス(名古屋市天白区塩釜口1-501)共通講義棟北11

●月桂冠総合研究所について
1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2年)、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで幅広い研究に取り組んでいる。

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