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大阪府立産研の業種別景気ヒアリング調査(6)
【ねじ・ネジ・業界紙】【大阪は全国一の産地】
大阪府における事業所数及び出荷額は、平成13年において普通鋼鋼線(鉄線)で24事業所、三五四億三,五〇〇万円(全国比29・3%、35・2%)、針金で6事業所、六二億二,〇〇〇万円(同46・2%、28・0%)、鉄丸釘で10事業所、九億五,三〇〇万円(同32・3%、21・7%)、鉄特殊釘で23事業所、九〇億五〇〇万円(同46・0%、36・0%)となっており、いずれも全国で第1位のシェアを占めている(経済産業省『工業統計表(品目編)』従業者4人以上分)。
府内には東大阪市の枚岡地区と高井田地区に古くから線材製品製造業者の集積がみられ、関連下請企業も含めこれらの企業群が有機的なつながりを持つことで、様々な種類の線材製品の供給を可能にしている。
関東では特定ユーザーを対象とした企業が多いのに対して、大阪企業は関西、関東双方の商社を主なユーザーとしているといった特徴があるとされる。
【生産は底ばいの動き】
全国の線材二次製品の生産量は平成15年の初め頃には上向く気配がみられた。しかし、これは材料不足に起因する仮受が発生したためで、その後は再び低迷し、現在に至るまで底をはうような動きが続いている。ただし、針金や特殊釘など品目によっては前年同月の水準を上回る月がみられるようになるなど、底打ちを期待させる動きもみられる。
大阪地区を対象としたヒアリング調査でも、扱い品目によってはバラツキがあり、例えばボルトやナットに加工される自動車関連向け冷間圧造用炭素鋼線は比較的堅調であり、一方、建設用の普通鋼線や普通釘などでは低迷が続いている。
なお、近年の公共工事削減の影響は著しく、かつては土木・公共工事関連で年度末の盛り上がりがみられたものだが、ここ数年はそのようなこともなくなり、今年度も期待できそうにない。
【増大する輸入製品】
かつては隆盛をきわめた業界の輸出も、今では激減し、現在残っている輸出は国内需要の1割以下とわずかである。
輸入については、材料である線材の輸入が、後述する国内線材価格上昇の影響によるものか、単月で前年1年間を上回るほどの急激な勢いで増加している。二次製品では、一服感のあった鉄線で昨年再び製品輸入が増大し、針金や釘も引き続き流入し続けている。また、ボルト・ナットといった三次製品でも、増大する輸入製品との競合がみられ、二次製品製造業者にも影響を与えている。身近な例では、焼肉店で使う金網などが、使い捨ての輸入品に転換しつつあるといった動きがみられる。これによって国内二次製品メーカーの出荷も減少することになる。
ある鋲螺用鉄線メーカーによると、台湾、中国などの三次製品メーカーの生産規模は標準的な国内メーカーの10倍程度も大きく、量産効果が働く。台湾資本の中国三次製品工場を見学に行った日本の線材製品メーカーの経営者が、そこでの製品の遜色のなさと低価格に、国内雇用の問題さえなければOEM申込もうかと思った。という話もある。
自動車メーカーなどのユーザーや商社は、既に在庫で持つような定番品はもちろん、これまでなら国内メーカーの主力製品であった規格外の量産品についても、安価な輸入品での調達をはじめようとしている。もはや国内製品の市場は、特殊な仕様や急ぎの製品など、限られたものになりつつあるという。
第1941号2・3面
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- 大阪府立産研の業種別景気ヒアリング調査(6) -- 2004/09/01 水曜日