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ねじ製品の価格是正が緊急課題†

 【ねじ・ネジ・業界紙】ねじ用材料価格の高騰に揺れるねじ業界では、製品価格の改正を急務としている一方で、最大の使命とも言える安定供給責務を全うしようと懸命な努力を積重ねている。そのような中で業界内からは、飽くまでもコストダウン要求を貫くユーザーや、材料供給を絞り込む材料メーカーなどに対して、「共倒れになる危険性がある」「日本のモノづくりが滅びる」等の警鐘を鳴らす動きが出始めている。

周知のとおり昨今のねじ用材料価格高騰は、底をみせずに超巨大化する中国市場の旺盛な需要増加が大きな要因である。その市場は、ねじ用材料の生産に使用される鉄鉱石・ニッケル・スクラップ・コークスなどに止まらず、古紙・穀物・石油等といった多数の原材料へと価格並びに供給面で多大な影響を及ぼしている。中国には、世界各地から様々な原材料が集められ膨大な数量を飲み込み、今までに類のない経済成長を続けて世界経済の牽引役となっているが、一方では08年北京オリンピック・10年上海万博の特需景気に踊っているとの、冷ややかな判断をする声も聞かれる。


しかしながら、ねじ業界が直面している材料問題は、ここ数年間での中国における国内鉄鋼消費数量の伸びは毎年約四千万トン強と、日本が誇る最大手鉄鋼メーカーの年間生産量を軽く上回り(日本全体約一億二千万トン)、鉄鋼メーカー関係者筋の話では「現段階は持続的拡大の真っ只中にあり、鉄鋼消費の年間伸び率は今後も同水準程度が見込まれる」との見方となっている。そのようなことからも、世界の鉄鋼製品及びその原材料は必然的に中国市場へと集中することは避けられず、日本の鉄鋼メーカーにおいてもねじ用材料を含めて中国に主点を置いた展開は続くものと見られ、更に価格の高騰や供給不足を招くものと懸念されている。また、先に国内大手鉄鋼5社から発表された原材料価格の上昇に伴なう04年のコストアップは、合計で三千五百億円前後になると予想され、この分についても材料価格へとシフトする公算が大きく、ねじ用材料も例外ではない。 


従って、ねじ業界では一昨年来から断続的に上昇する材料価格に対しては、総体的な合理化や骨身を削る企業努力をおこなってきたものの、相次ぐコストダウンと市場での単価低迷によって自らの吸収が困難であることから、材料値上げ分については製品への転嫁に取組んだが、取巻く環境はデフレ下にあって適正な採算性を得られる製品価格の改正までには至らなかった。しかし、ここにきて材料動向は以前にも増して目まぐるしく変化し、特に価格の高騰は企業の存続に決定的な打撃を与えるほどになり、是が非にでも製品単価は改正せざる得ないと動き出している。これは国内に限らず、安価な製品を生産提供する中国をはじめアジア諸国の台湾・韓国・マレーシアなどでも同様の傾向となっている。


ところが、最終需要家にあたる組み立て産業などのユーザー動向をみてみると、この状況を知ってか知らずか依然としてコストダウン要請をおこない、また状況を察して材料値上り分のコストダウン要請で現状の製品価格維持を目論むなど、買い手の立場を利用しただけの企業努力に値しない個の利益追求による問題を浮上させている。また、材料供給サイドではねじメーカーとの値上げ交渉の際には、材料値上げを受入れなければ供給ストップとなり、材料を発注した場合は値上げを受け入れたと判断するなどと、有無を言わさぬ強攻姿勢で材料価格の引上げが断行されているのが現状である。ほかにも、交渉時に供給は前年実績の30%カットを無理やり承諾されたケースもみられ、原材料価格の高騰以外に材料値上げのためのあらゆる手段が取られている。


そんな苦境下に立たされて板挟みになっているねじ業界ではあるが、産業の塩と言われ我々の生活にも欠かせられない“ねじ”を、ねじに関わるメーカー・商社等はマーケットへと安定供給する責務の立場を踏まえた対策に取り組んでいるが、業界内からは日本の産業界の将来を危惧する声も聞かれはじめた。その代表的なものを紹介する。





第1927号

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