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富士重工と東大、機体破損後の航空機自動飛行実験に成功

 富士重工業は7日、東京大学と共同で、飛行中に機体が破損しても安定した自動飛行が可能となる、人工知能技術を用いたシステムの実証実験に成功したと発表した。民間機を対象とした飛行実証実験を成功させたのは世界初。

 航空機は高度な安全性基準のもとで設計、製造、運用されるが、まれに鳥衝突などによる破損が飛行中に発生する場合もある。このような場合、通常はパイロットの高度な操縦技能により飛行を維持するが、この研究は、そうした状況でも機能する次世代の自動操縦技術を開発することにより、さらに高い安全性を目指すもの。今回開発したシステムは、学習機能をもったソフトウェアにより故障の影響を吸収する自動操縦システムで、複雑な故障検知システム等を追加すること無く、機体破損のようなアクシデント後の安全性の向上に大きく貢献する。

 今回の実証実験は、自動操縦中の実験機から右主翼の先端部約20%を分離・脱落させ、故障後もシステムの制御により安全に飛行を継続することを確認したもの。実験機は、小型ビジネスジェット機のスケールモデル(全長約1.4m)で、機体設計を富士重工業が担当し、飛行制御に必要なセンサーや制御用コンピューターの開発、ならびに機体製作を東大が担当した。この実験機に、富士重工業と東大とでそれぞれ開発した、異なる方式のニューラルネットワーク(人工脳神経網)を用いた飛行制御ソフトウェアを搭載し、いずれの方式でも飛行実証を成功させた。

 このプロジェクトは、社団法人「日本航空宇宙工業会」の取りまとめによる経済産業省の委託事業「航空機用先進システム基盤技術開発:先進パイロット支援システム」の一環。また、システムの開発には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の実験用航空機を活用している。


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