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東レ 導電性能を実現したポリエステル導電繊維を創出

ニュースリリース|繊維|

 東レ株式会社(本社・東京都中央区、榊原定征代表取締役社長)は、このたび、独自の高分子設計技術により高い変形追随性と高導電性を両立する導電性ポリエステルポリマーを開発し、その応用展開の第1弾として、合成繊維で世界最高レベルとなる線抵抗104Ω/cm台に到達する優れた導電性能を有する新規ポリエステル導電繊維の創出に成功しました。

 本繊維は、従来は困難であった繊維表層全体にポリエステルベースの導電層を形成した構造により、温湿度等の外部環境に影響されない高い導電安定性と、従来比1桁以上変動が小さい繊維の長さ方向に対する優れた導電均一性も実現しました。その結果、様々な実使用環境でも高い導電性能を安定的に発揮することが可能となりました。高い導電性能が求められる幅広い用途での展開が期待できることから、今後、本研究成果の実用化に向けて基本技術を確立してまいります。

 通常、導電繊維は、導電性を付与するためにカーボンブラックなどの導電剤が添加されますが、一般的に繊維に広く用いられるポリエチレンテレフタレート (PET)等の代表的なポリエステルは導電剤の分散性が悪く、且つ導電剤を多量に添加すると著しく増粘して曳糸性が低下する(均質な糸が安定的に製造できない)という欠点がありました。このため、導電剤の添加量に制限があり、通常のポリエステル単独では十分な導電性を発揮することができませんでした。

 そのため、従来のポリエステル導電繊維では、表層の一部に導電剤を含有する導電層を配する構造をとったり、導電剤の多量添加が可能なナイロンが導電層に用いられたりしました。しかし、前者では導電性の均一性が不十分であり、また後者では、導電性能が季節や天候の変動、温湿度変化といった外部環境の変化に左右されやすく、導電安定性が低下するという課題がありました。このため、高い導電性能と外部環境の影響を受けにくい導電安定性を兼ね備えた新規導電繊維が求められてきました。

 これに対して東レは、以下の2つの研究成果により、104~108Ω/cm台と、従来製品に比べて1桁以上高い世界最高レベル(線抵抗104Ω/cm台)に到達するポリエステル導電繊維を得ることに成功しました。

 (1) ベースポリマーと導電剤の親和性をナノレベルで制御する技術、導電剤を多量に添加しても高い変形追随性を有するポリエステル系ポリマーの設計により、導電剤を高濃度に添加しても細繊度糸の紡糸で求められるポリマー流の大変形にも追随でき、安定して溶融紡糸が可能となる導電性ポリエステルポリマーを開発しました。

 (2)上記ポリマーをベースに当社の独創的固有技術である精密複合製糸技術を駆使し、導電層を繊維表面に均一に形成することにより、繊維の長さ方向における線抵抗の「むら」を示す変動係数(CV値)を従来製品の10分の1レベルの0.1未満に改善し、優れた導電均一性を実現しました。

 さらに本開発品は、ポリエステル繊維の本来の特長である柔軟性や曲げ回復性などの優れた特性も保持しており、従来適用が難しかった帯電防止テープやハイレベルなクリーンルーム用防塵衣・工程資材など、産業資材用途も含めた幅広い用途展開が期待されます。今後、実用化に向けた基本技術を確立し、最終製品を提供するメーカー各社などとの共同開発も含めて、幅広い用途への展開検討を進めます。

 同時に、高い変形追随性と高導電性を両立する導電性ポリエステルポリマーの他分野への応用展開についても検討してまいります。

 東レグループは今後も、経営理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を、“Innovation”(革新と創造)の実践によって具現化し、革新的な先端材料の創出を目指して、研究開発を強化してまいります。

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