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花王が調査、メラノサイトのライフサイクルは情報伝達物質が制御

ニュースリリース|メラノサイト|

 花王株式会社(社長・尾崎元規)ビューティケア研究センターは、千葉大学放射線医学総合研究所連携大学院・広部知久教授と共同で、ヒトのメラノサイトの成熟、増殖、減少といったライフサイクルが、エンドセリン※1とSCF※2を中心とした情報伝達物質によりコントロールされていることを明らかにしました。この結果は、新たな美白技術や皮膚疾患の解析につながるものと考えられます。

 ※1 エンドセリン(Endothelin) :血管収縮物質として発見された情報伝達物質
 ※2 SCF(Stem Cell Factor) :幹細胞増殖因子と呼ばれる情報伝達物質

 ▽研究背景
 メラノサイトは、皮膚のシミとなる黒褐色の色素メラニンを生み出す細胞です。そのライフサイクルは次の過程をとることが知られています。

Step1 : まだメラニンを作る能力を持たない未熟な細胞メラノブラストの増殖
Step2 : メラノブラストの成熟(分化)によるメラノサイトへの変化
Step3 : メラノサイトの増殖(→メラニン生成)
Step4 : メラノサイトの減少

 従来の皮膚のシミに関する研究や美白のアプローチは、メラノサイト内のチロシナーゼ酵素の活性やメラニン生成の抑制に関するものが多くを占めます。しかし、花王ではこうしたアプローチに加えて、メラノサイトと皮膚の中でメラノサイトを取り囲むように存在する角化細胞の両者に着目した研究を進めてきました。その結果、角化細胞からメラノサイトにメラニン生成を指令するメカニズムを発見し、情報伝達物質であるエンドセリンを抑制する有効成分「カモミラET」を開発するなど、情報伝達物質に着目した独自の美白研究を行ってきました。

 一方、メラノサイトのライフサイクルの各過程に影響する物質を同定し、その作用を調べれば、シミの根本的な原因や皮膚疾患の解析に繋がると考えられます。しかしこれまで、より皮膚の中に近い環境でメラノブラストやメラノサイトを培養する技術がなく、詳細な研究ができませんでした。
広部教授は、皮膚に本来備わっている生理的物質のみを培養液に加え、メラノサイトやその前駆細胞であるメラノブラストを純粋培養する技術を確立されました。この方法により、皮膚により近い条件で情報伝達物質の影響を評価することが可能になりました。

 以上を背景に、上記の4ステップにおける情報伝達物質の研究を行いました。

 ▽研究成果
 ヒトのメラノブラストやメラノサイトへの各種情報伝達物質の影響を検討した結果、以下が分かりました。

 (1)メラノサイトのライフサイクルは、情報伝達物質によってコントロールされている。

 (2)情報伝達物質の中でも、エンドセリンとSCFによって、メラノブラストおよびメラノサイトの増殖が促進される。

 (3)培養液からエンドセリンとSCFを除くと、メラノサイトが減少する。

 (4)このメラノサイトの減少のメカニズムは、断片化DNAを検出する細胞工学的な手法により、“アポトーシス”と呼ばれる「オタマジャクシの尻尾がなくなる現象などで知られる遺伝子にプログラムされた自然な細胞消滅」によるものであることが分かりました。

 “アポトーシス”による細胞減少は、生体組織のダメージや生体機能の低下を起こしにくいことが一般的に知られています。よって、今回の研究成果のような情報伝達物質によるヒトのメラノサイトのコントロールは、より効果的な美白技術や皮膚疾患の解析に繋がると考えられます。

 本研究は、第5回国際研究皮膚科学会(2008年5月14~17日・京都)において発表します。本成果は、新しい美白剤などのスキンケア商品の開発に応用していきます。

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