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三菱重工、パキスタンの化学会社へCO2回収技術を供与 回収能力は日340t

 三菱重工業は1日、パキスタンの化学会社であるエングロ・ケミカル・パキスタン社へ二酸化炭素(CO2)回収技術を供与することを発表した。石油化学プラントから放出される燃焼排ガスに含まれるCO2を回収し、尿素増産用に利用するもので、CO2回収能力は340トン/日。CO2回収プラントの完成は2010年7月。

 今回ライセンス供与するのは、尿素製造の工程で出る燃焼排ガスからCO2を、特殊な吸収液(KS-1)を用いて分離・回収し、回収したCO2を尿素合成プロセスに原料として供給する技術。排ガスからのCO2回収率は約9割。

 エングロ・ケミカル・パキスタン社は、パキスタンのダハルキ市に、1系列3835トン/日のアンモニア・尿素プラントを建設中であり、CO2回収装置が新設プラントに設計段階から組み込まれる初のケース。三菱重工は今後世界各地で出てくる尿素の新プロジェクトのモデルケースになると期待している。

 三菱重工のCO2回収技術は、関西電力と共同で開発したもので、他プロセスに比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特徴。プラント初号機(回収能力200トン/日)は、マレーシアの尿素肥料工場に納入され、1999年から順調に稼動しているほか、2005年には、インド最大の尿素肥料会社IFFCO社の2工場に回収能力各450トン/日、また、2006年には、アラブ首長国連邦の尿素肥料会社FERTIL社に同400トン/日のCO2回収技術を供与。2007年にはバーレーンの石油化学会社GPIC社、及びインドの尿素肥料会社NFCL社に各450トン/日の回収技術を供与している。今回の受注は、これら実績が高く評価されたもので、現在、各方面からこの技術に対する引合いが数多く寄せられている。

 とりわけ、EORは、昨今の原油価格の高騰に伴い急速に需要が高まっている。CO2を油層に固定化することによって、温暖化ガス削減にも大きく寄与できる可能性があるため、中東諸国を中心に世界的にも脚光を浴び、今後、大規模な市場となっていくことが予想されている。三菱重工は、今回のような化学的利用分野やEOR分野に対しても、積極的にアプローチしていくとしている。


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