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富士経済、国内住宅設備・建材市場の動向調査実施 好調気運

 富士経済は、国内の住宅設備及び建材市場の調査を実施し、その結果を報告書「2013年版住設建材マーケティング便覧」に取りまとめた。

 それによると、国土交通省の「建築着工統計調査」を基に推計を行った結果、12年の新設住宅着工戸数は、08年のリーマンショック以降の低迷から、ここ3年連続で増加した。11年は大震災の影響で、工期の遅れや部材調達の遅延が発生したが、前年比2.6%増の約83万4000戸、12年も5.8%増の約88万3000戸と順調であった。

 その要因は、(1)低水準金利と、住宅ローン商品販売への注力、(2)マンション契約の好調継続、(3)賃貸物件投資の採算性向上など供給側の環境が改善していることや、(4)復興支援・住宅エコポイント制度やフラット35S(長期固定金利の住宅ローン)など政府による住宅購入支援策の導入が充実したことにある。

 13年以降の新設住宅着工戸数は、14~15年に予定される消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動、住宅ローン減税の実施など政府の施策が大きく影響する。

 大震災の被災地では、宮城県、岩手県の両県だけでおよそ9万戸の復興計画が打ち出されている。12年に入って復興需要が出てきているが、高台移転に伴う住民の合意形成の遅れや道路など土木工事が中心で住宅建設まで着手出来ておらず、今後は緩やかに建て替えが増加していくと予想される。

 住宅設備・建材市場全体の12年見通しは、5兆6509億円、前年比3.6%増となり、住宅設備市場では、3兆5607億円で前年比3.5%増である。伸び幅が大きいのは、創エネ分野、スマートハウス関連分野、セキュリティ分野。特に創エネ分野では、ガスコージェネレーションシステム(家庭用燃料電池)や住宅用太陽光発電システムが、国の補助金制度導入も後押しして好調が続く。

 また、スマートハウス関連分野も11年頃から本格的に市場が拡大している。反対に給湯機分野は前年を下回る。11年の大震災による電力供給の不安定化、電力各社による電化営業の自粛によって、電気給湯機市場は縮小し続け、ガス給湯機や石油給湯機の需要も前年比ではそれほど増加していない。

 住宅設備市場は、スマートハウスを意識して「省エネ・節電」提案が可能な品目が拡大している。

 建材市場は、12年の見通しは、全分野が前年を上回り2兆902億円、前年比3.7%増である。特にエクステリア分野と屋根材/外装材関連分野が好調である。エクステリア分野は新築後、一定期間を経てから採用される割合も比較的多く、都市部を中心に外構部のセキュリティを高めるケースが増えている。屋根材/外装材関連分野は、新設住宅着工戸数の増加に伴い拡大している。全体的に建材市場は、省エネ対応やリフォーム対応商品の拡充が行われている分野ほど伸び率が高い。

 今後の住宅設備・建材全体市場の予測では、住宅設備分野は、創エネ分野とセキュリティ分野、水廻り設備分野で市場拡大が予想される。創エネ分野は、今後スマートハウスに標準採用される点や補助金制度導入など国の手厚い待遇が見込まれる点を考慮すれば、増加が期待される。

 また、セキュリティ分野は、今後も防犯意識の高まりが加速していくことが確実であるため、ハウスメーカーやデベロッパーの採用率が高まり増加する。水廻り設備の3分野(水廻り関連機器、給湯機、空調設備)は、14年に行われる消費税増税を目前にした駆け込み需要と新設住宅着工戸数の増加に連動して、13年は拡大するが、14年以降には市場が反動減となり、16年にはいずれの分野も11年実績を下回る。

 建材市場は、6分野中4分野が拡大する。そのうち断熱分野は、20年の省エネ基準適合の義務化を目指して、住宅業界が採用を進めるため拡大していく。屋根材/外装材関連分野は、外部環境(震災など)の変化によって商品自体の価値が認められ普及に弾みがついた品目が増えていることや、高機能商品の拡充により、商品単価が上がっていることから市場が拡大する。

 他の2分野(内装材(木質)と外部建具)については、14年の消費税増税策が行われるまで駆け込み需要により市場は拡大するが、その後は反動を受ける。


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