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アジア企業間取引でデフォルトが増加、アトラディウス調査

【アムステルダム2012年11月21日PRN=共同JBN】アジア太平洋地域の企業が企業間取引で売掛金回収不能額の増加に直面している。回収不能額の比率は2011年の3.6%から2012年は5.0%に増えた。アジア太平洋地区を対象にしたAtradius Payment Practices Barometer(http://global.atradius.com/paymentpractice/list/paymentpractices.html)によると、調査の回答企業の半数以上が取引信用リスクの悪化から自社を守る対策を強化することを考えている。

Atradius Payment Practices Barometerの2012年11月版は、オーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、シンガポール、台湾の1661社からの回答に基づいてまとめられた。調査の結果は全体として、この地域の調査回答企業が国内外企業へ発行したインボイスの金額の約30%が、期日までに支払われなかった。この比率が最も高かったのは香港の約35%、最も低かったのは日本の20%弱だった。

インボイスの金額のうち10%以上は、期日から3カ月過ぎても支払われず、5%強がデフォルト(債務不履行)になった。この比率はインドとシンガポールが7%と高く、日本が約2%と低かった。支払いが遅れたインボイスの高い比率の衝撃は、アジア太平洋地域で契約された平均的な支払期間(32日)と平均売掛金回収期間(44日)の違いによって説明される。

昨年の同じ調査と比べると、資金不足による国内での支払い遅れは、2011年の47.7%から53.5%に増えた。インドネシアの回答企業(70%)が国内企業の売掛金回収遅れの問題に最も悩まされた。国外顧客企業からの支払い遅れの主な理由は、支払い手続きの複雑さと、銀行システムの非能率性(ともに約45%の回答率)だった。

返済遅れとデフォルトを減らすことについては、回答企業の半数以上(53%)がバイヤーの信用度チェックを増やすことを考えている。この比率はシンガポール(68.0%)と中国(64.5%)で高かった。

アトラディウスのアンドレアス・テッシュ最高マーケティング責任者(CMO)は「アトラディウスは今年のアジア太平洋地区からの輸出が3.4%増にすぎないと予想する。これは2011年の伸びの半分以下だ。米国での支払い不能は5%低下するが、中国、日本、香港といったアジア太平洋地域内の輸出市場で支払い不能環境が改善しないのが、輸出の伸びを抑えるとみている。この地域の最大の輸出入市場である中国の国内総生産(GDP)成長率が、2012年は7.7%に鈍化し、2013年も8.1%にとどまることは、欧米の顧客企業への輸出の減少と、国内の重要な需要が伸びないことが背景にある」と説明した。

テッシュCMOは「平均すると、2012年に調査回答企業の取引信用リスク環境は悪化した。回答企業への支払い遅れは2012年に一段と増加し、デフォルトは25%増え、全般的な取引信用リスク環境に対する懸念が高まっている。こうした環境では、キャッシュフローと財務安定を守るために取引信用リスクを管理することが非常に重要だ。われわれの目標は、世界的な成長の原動力に欠かせないセキュリティーの確立を企業に手助けすることだ」と結論付けた。

アジア太平洋地区を対象にしたAtradius Payment Practices Barometer(http://global.atradius.com/paymentpractice/list/paymentpractices.html)の2012年11月版の調査結果に焦点を当てたリポートの全文は、ウェブサイトAtradius.comのPublicationsセクションにある。

▽アトラディウス(Atradius)について
アトラディウス・グループ(Atradius Group)は45カ国に160事務所を置き、世界規模で取引信用保険、保証、債権回収サービスを提供している。世界の取引信用保険市場でのシェアは約31%。アトラディウスは世界の1億社の信用情報にアクセスでき、企業の与信上限に関して毎日2万件以上の決定を行っている。同社の商品は世界中の企業が製品、サービスを信用で販売する際に付随する支払いリスクを防止するのに役立っている。


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