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独Heliatek、色ガラスで発電する太陽エネルギーフィルムを発表

 【ドレスデン(ドイツ)2012年6月15日PRN=共同JBN】有機太陽光発電技術で業界をリードするドイツのHeliatek GmbHはこのほど、同社の透明太陽エネルギーフィルムを二重窓の間に組み込んで利用することが可能になると発表した。同社独自の蒸着技術によって太陽エネルギーフィルムにはホモゲン法コーティングが施され、目障りな模様やでこぼこがないため、これらの窓は色つきガラスのように見える。

 Heliatekは現在、ガラスその他の建材メーカーと協力して同社の太陽エネルギーフィルムを建材の中に組み込む作業を行っている。Heliatek最高経営責任者(CEO)ティボー・ルスギヨン(Thibaud Le Seguillon)氏は「当社の太陽エネルギーフィルムを使えば、ビルの建設作業すべての面で、他にはない素晴らしい重要な利益が得られる。ビルや建設の建材業界に向けて、カスタム化された太陽エネルギーフィルムを供給する首位のサプライヤーになることが当社のビジネスモデルだ。建材各社はそれぞれの製品の中に太陽エネルギーフィルムをエネルギーのハーベスト部品として組み込むことになる」と述べた。

 Heliatekの超薄型太陽エネルギーフィルムは、2枚のガラス板の間に組み込むのに最適である。フィルムの透明度、色調も顧客の需要に合わせて調整することが可能。独立公認試験施設SGSの測定によれば、Heliatekの研究所レベルの太陽電池は、23.5 %の光透過レベルでも7 %のセル効率を出している。同社は現在、ドイツ・ドレスデンの研究所で最大40%までの透明レベルを作り出すことができる。2014年に次期生産ラインがスタートし、ビル業界に透明太陽エネルギーフィルムが供給される段階では、このレベルは50%まで上がる可能性があると見ている。

 SGSは以前行った試験で既存のソーラーテクノロジーに比較しており、Heliatekの太陽電池が優れた微光、高温性能を持つことを確認している。光の照射がわずか100W/m2でも、1000W/m2で測定された標準試験効率よりセル効率が15%も高かった。さらに、既存のソーラーテクノロジーでは温度が上がるとセル効率は15 %から20%程度下がるが、同社のセルは温度が上昇しても同じセル効率を保っている。

 Heliatekの共同創立者兼最高技術責任者(CTO)のマーティン・ファイファー(Martin Pfeiffer)博士はさらに「当社の薄型、軽量の太陽エネルギーフィルムは直接色々な種類の建材に組み込むことが可能で、組み込むために特別の構造材を必要としない。今までの太陽光発電技術と異なり、高温でもフィルムの効率は一定に保たれるため、冷却も必要ない。同様に、優れた微光性能のため、フィルムを置く方向や角度は重要ではなくなり、曇天、北向き、または朝晩であってもセル効率を保つことができる」と述べた。

 Heliatekは最近になって、コンクリート外壁の弾性モールドで世界をリードするRECKLI社との間で、同社の太陽エネルギーフィルムをコンクリート外壁の表面に組み込むための共同開発に合意したと発表した。これによって垂直に立つコンクリート外壁が、特別な支持構造や冷却装置なしに、非常に効率的な太陽エネルギーのハーベスト装置になることが可能になる。

 Heliatek成功の鍵になったのは、ドイツ・ウルムにある同社研究所で開発された一連の小有機分子オリゴマー(重合体)である。小有機分子を低温のロールツーロール真空プロセスで蒸着するのは世界の太陽エネルギー企業のなかでもHeliatekだけである。タンデム構造の同社太陽エネルギー・セルは、純度と均一性が高いナノメートル・レベルの薄膜でできている。この技術は良く知られた有機LED技術と非常によく似ているが、その動作はまったく逆で光を取り込んで発電する。このことでHeliatekは容易に入手可能な製造装置を使うことが可能になり、そのことが信頼性の高い、大量生産への近道になった。

 詳しい情報はウェブサイト(http://www.heliatek.com)を参照。


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