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ドイツのヘリアテック社、セル効率10・7%の世界記録を更新

 【ドレスデン(ドイツ)8日PRN=共同JBN】有機太陽電池フィルムの技術リーダーであるドイツのヘリアテック社(Heliatek GmbhH)は、有機太陽光電池の世界新記録を樹立し続けている。同社は最新の有機太陽電池(OPV)の測定を独立の公認検査機関のSGSに委託した。この測定では、1・1平方センチメートル(cm2)当たり10・7%のセル効率を備えたOPVの世界新記録を更新する結果が出た。テストではまた、OPVが従来の太陽光技術と比較して優れた微光性能と高温性能があることを確認した。

 へリアテックが成功したカギは、ドイツのウルムにある同社研究所で開発・合成された一連の小型有機モジュールのオリゴマーである。へリアテックの共同創設者であるマーティン・ファイファー最高技術責任者(CTO)は「へリアテックは、低温かつロールツーロール真空プロセスで小型有機モジュールの蒸着を利用する世界唯一の太陽光企業である。当社のタンデム太陽電池は、高純度かつ均一のナノメーター薄層で作られている。これによって、当社は効率性と耐用年限を体系的に向上させる電池構造を正確に設計することができる」と説明している。

 SGSによる測定には、太陽光産業の標準試験条件(STC)の下でのセル効率測定に加え、微光および最高セ氏80度の高温での性能測定が含まれていた。試験結果では10・7%のセル効率を備えたOPVの世界新記録を樹立しただけでなく、追加測定ではヘリアテックのOPV電池は実際の設置条件下でも優れた性能を示した。

 微光での測定結果で、セルの効率性は一定であり続けただけでなく、徐々に高まったことを立証した。100放射照度(W/m2)での測定では、セル効率は、1000放射照度(W/m2)で測定した標準試験効率に比べて15%高い。さらに高温での測定では、効率性が一定であることが確認された。この性質はOPV技術独特のものであり、気温上昇での効率が15%から20%低下する従来の太陽光技術とは大いに異なっている。

 これらの技術上の優位性は、実際の設置条件におけるより大きな発電要素となる。最初の屋外試験ではヘリアテックの有機太陽電池は結晶性で薄膜太陽電池よりも15%から25%高いことが明らかになった。

 ヘリアテックのティボー・ルスギヨン最高経営責任者(CEO)は「ヘリアテックは2006年に創設された際、技術ロードマップとしてセル効率に関する野心的なマイルストーンを目指したが、われわれはそのどれもことごとく達成してきた。化学および物理の当社研究チームの緊密な協力のおかげで、われわれは現在、数年のうちには15%のセル効率を達成できる予定である」と語った。

 ヘリアテックは現在、ドイツ・ドレスデンに同社初のロールツーロール製造ラインの設置を進めており、2012年第3四半期には生産に入る。同社はまた、新規のロールツーロール75MWp生産ラインに対し、既存および新規投資家から6000万ユーロを募る資金調達第3ランドも開始している。

 ▽ヘリアテック(http://www.heliatek.com)について
 ヘリアテックは2006年、ドレスデン工科大学(IAPP)とウルム大学からから分離設立された。同社は小型モジュールに基づくフレキシブル有機太陽光発電(OPV)分野で世界的な技術リーダーである。ヘリアテックはドレスデンとウルムにある同社施設に総勢約75人の専門家から成るスタッフを擁している。ヘリアテックへの投資家には、BASF、ボッシュ、RWE、ウェリントン・パートナーズなどの大手の産業・金融企業が含まれている。研究開発と生産技術については、ザクソン州、連邦政府・教育研究省(BMBF)、連邦政府・経済技術省(BMWi)、欧州連合から資金提供を受けている。


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