現在位置: HOME > ニュース&コラム > ビジネス・産業 > 医療機器


独ブラスティコン社が開発、幹細胞並みの特性持つ細胞

 【キール(ドイツ)6日PRN=共同JBN】ドイツ連邦議会は3月中旬に「ドイツ幹細胞法」の修正について採決を行う予定である。胚性幹細胞(ES細胞)に関する議論の両極の間にはこれまで以上の隔たりがある。賛成派は幹細胞研究の完全な自由化を呼びかけているが、反対派は胚からつくられるヒト幹細胞の使用を全面禁止するよう求めている。連邦議会が新たな規制について論議している間にブラスティコン・ビオテクノロギッシェ・フォルシュンク社(Blasticon Biotechnologische Forschung GmbH)は細胞生物学の画期的な進展を成し遂げた。ブラスティコンは特許技術の使用権を持っており、この技術によって静脈から採取した血液中の単球(成熟した白血球)を幹細胞と同等のプログラム可能な特性を持つ細胞に変え、診断、治療のさまざまなアプリケーション向けに異なる機能性細胞に分化させることができる。

 ▽広がっている病気に対する戦いの早変わり芸人細胞
 キールのシュレスウィヒ・ホルスタイン大学病院の一般外科、胸部外科部長で同社の創立者であるフレート・ファンドリッヒ教授は「われわれは単核細胞を利用しており、これは血液から簡単に抽出できる。特許を得たこの方法の次の段階では、このプログラム可能な細胞を希望する目標細胞、例えば肝細胞や筋肉細胞、すい臓のランゲルハンス島の細胞に『プログラムする』ことができる」と語っている。欠陥細胞、欠失細胞の置換(再生医療)、あるいは免疫システムを規制する細胞の生成による治療が可能になる。自己免疫疾患の治療、移植医療の大きな前進である。

 「再プログラムされた」細胞は診断剤としても、治療目的にも使うことができる。炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、糖尿病、リウマチ、心筋梗塞、肝臓病、腎臓移植、肝臓移植などが主な治療分野である。ブラスティコンの治療薬の開発はほとんどが進行した臨床前段階、または臨床段階にある。ほとんどの場合、目標アプリケーションの治療分野は生涯にわたる高額の治療が必要である。ブラスティコンの再プログラムされた細胞によって、病気をその根源で攻撃すること、治療の長期化を防ぐことが可能になる。この技術のもう一つの利点は健康管理システムの大幅なコスト削減である。

 ▽利用の準備ができていてまもなく市場に導入される製品
 生体外急性毒性検査「ネオヘプス」の診断用アプリケーションは欧州連合(EU)から認められればすぐに市場に導入できる。2007年6月1日に発効したEUの新しい化学品規制「REACH」はここでは特に重要である。これによってすべての化学品のメーカー、輸入会社、ユーザーは将来、その成分が安全であることを確認しなければならなくなる。これはシャンプー、台所用品、コンピューター、テレビ、家具、衣料などを製造する多くの業界にとって大きな難問となる-REACHの施行によって約3万の既知の化学品は安全性を再検査されることになる。新しい化学品もREACH検査制度で検査しなければならない。推定によると、年間に約3500の検査が必要になる。

 これまでのところ、ブラスティコンの「ネオへプス」検査システムはEUの検査制度で必要なすべての検査をパスしており、したがって明白な市場リードの立場を確保できている。さらに「ネオへプス」は、例えば薬剤の効能や望ましくない副作用の検査などの点で、医薬品業界に大きな利益となるだろう。利点は動物実験の減少、必要な細胞が無限に入手できること、医薬品開発分野でのコスト削減である。

 ファンドリッヒ教授は現在の政治的論議について「個人的には胚細胞の臨床応用についてはあまり考えていない。純粋な研究と臨床研究は別々であるべきだ。胚幹細胞は細胞のプログラム可能性をよりよく理解するために必要だ」とコメントしている。

 ▽ブラスティコン・ビオテクノロギッシェ・フォルシュンク社について
 ブラスティコンは細胞医療、生体外診断の分野で活動しているバイオテクノロジー会社である。採取した血液中の単核(成熟した白血球)をPCMO(単球起源のプログラム可能な細胞=幹細胞のようなヒト細胞)に変え、診断治療分野のさまざまなアプリケーション向けに異なる機能性細胞に分化させることができる特許技術の使用権を持っている。創立は2002年。

 (共同通信PRワイヤー)


関連記事

powered by weblio


前後の記事



記事バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する