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マイクロソフトと消費者が共同戦線 偽造ソフト対策で

【レドモンド(米ワシントン州)3日PRN=共同JBN】米マイクロソフト社は3日、気が付かずにコンピューターウイルスやマルウェアに汚染されていることが多い偽造ソフトを買ってしまったという消費者からの自発的な届け出が急増していると発表した。そのような届け出は過去2年間で15万件を越えている。届け出は前回調査したときに比べ2倍増以上の伸びを示しているが、これは偽造ソフトによる被害に対する懸念が増大していることと同時に、マイクロソフト社が行っているソフトウエア偽造に対する戦いの中で一般の人たちに声を上げてもらおうという努力が相まったものだ。

マイクロソフト社は3日「コンシューマー・アクション・デー(Consumer Action Day)」を開始、同社サイドでもさらに力を入れることになった。これは世界70カ国以上で同時に行われるもので、教育的な処置と強制執行という両面を持ち、消費者を保護し、偽造ソフトの危険性に対する意識を高めようとするものだ。

マイクロソフト社でワールドワイド・アンチパイラシー・アンド・アンチカウンタフィート(Worldwide Anti-Piracy and Anti-Counterfeiting)を担当するデービッド・フィン・アソシエート・ゼネラル・カウンセルは「一般消費者は行動を求めている。今日、発表された強制執行のケースの多くは、消費者からの通報や申告から始まったものだ。だまされて不正なソフトを使った消費者はウイルスに遭遇し、個人情報を失い、自分の身元を不正に利用される危険を招き、さらには貴重な時間やお金を失うことになる。今日の発表はパートナー、政府機関、NGPなどの第3者機関と一緒になって偽造ソフトの悪影響から人々を守るという当社のコミットを示すものだ」と語った。

ソフト業界は長い時間をかけて、海賊ソフトのブラックマーケットと消費者に対する影響について調査をしてきた。IDC社が2006年に行った重要な調査(注1)によれば、偽造ソフトを提供しているウェブサイトの4分の1はダウンロードする際に望んだものではない、または悪質なプログラムをインストールしようとしている。海賊ソフトに対抗するソリューションを提供しているドイツのメディア・サーベイランス社(Media Surveillance)によれば、その割合はさらに増大している。同社が最近海賊版のウインドウズを数百本ダウンロードし、分析したところ、32%は悪性のプログラムを含んでいた。2006年のIDCの白書はさらに、17カ国の再販業者から購入した偽造マイクロソフト製品の分析結果を掲載している。それによれば、それらのディスクの50%以上が偽のプログラムを含んでいるか、マルウエアが仕込まれているか、またはインストールそのものができないようなものだった。2カ月前にビジネス・ソフトウェア・アライアンス(BSA)が行った「インターネット・パイラシー・スタディー(Internet Piracy Study、注2)」によれば、海賊ソフトの使用率が高い国はマルウエアに汚染されている率も高い場合が多いと言う。

ファイブ・スター・フィナンシャル・サービシズ社(5 Star Financial Services)のビル・カイン最高経営責任者(CEO)は「我々が手にした製品はマイクロソフト社のソフトのように見えた。しかしインストールしようとすると直ぐに問題が起きた。最初からインストール・エラー、登録エラーの連続だった。わたしもわたしの妻も家でビジネスをしており、コンピューターに頼るところが大きい。海賊ソフトが正常に機能せず、多くの時間をコンピューターダウンで浪費してしまった」と述べた。

「コンシューマー・アクション・デー」の一環として、70カ国以上の国で教育的な処置と強制執行が同時に行われ、消費者を偽造ソフトから守る運動が始まった。主な活動としては、中国中の学校で行われた知的所有権に関する教育プログラム、ドイツの再販業者を対象にしたオリジナル製品を使おうというグループ活動、メキシコ政府の消費者保護機関向けの偽造製品のリスクについての訓練コース、ギリシャの子供向けの安全なインターネット利用プログラム、さらにアルゼンチンの中小企業における海賊ソフトの影響調査などである。ウェブサイト(http://www.howtotell.com)に世界で行われているこれらの努力の具体的な紹介が双方向で見られる地図の形で掲載されている。

マルウエアの影響は、単に煩わしい広告から安全を脅かす深刻なものまで幅広い。ハリソン・グループ社(Harrison Group Inc.)の最近の調査(注3)によれば、ライセンスがないかまたは偽造のソフトを使っている会社は、重要なデータを失うかまたは壊される可能性が73%も高く、24時間以上続く重大なコンピューターの故障を被る可能性が73%も高いという。

さらに、ほとんどの人が払ったお金に見合う機能を得られないという結果になっている。販売業者から払戻を受けることもできないため、もう一度製品を買い直さなければならない消費者もいる。カナダでペリング・インダストリーズ社という小企業を経営しているショーン・ペリング氏は以前には取引のなかった業者からマイクロソフト・オフィスを購入したと言う。

同氏は「わたしとしては仕事に使うソフトが必要で、いくらか節約しようとしたのだ。数週間使ってみて、わたしたちが売りつけられたのはかなり良くできた偽造品だということが分かった。わたしはマイクロソフトがこの問題に対する取り組みを促進し解決しようとしていることに感謝する」と語った。

悪いことに現在の偽造業者は多くの場合犯罪組織であり、ライセンスのないソフトウエアを何百本と配布するだけにはとどまらないことだ。メディア・サーベイランスのマルクス・シュバイツァー氏は「海賊ソフト業者は多くの場合、ボットネットを作りあげる。これはネット上の犯罪者に支配され、ネット上でいろいろな不正活動を行わされる汚染されたコンピューターの集まりだ」と述べた。最近あった1例を見ると、海賊ソフト業者はマルウエアが満載のウインドウズの偽造版を餌にしてパソコンを汚染し、それらのパソコンに命じてネット犯罪集団が支配しているサーバーに接続させるボットネットを作っている。

ますます巧妙になるソフトウエア偽造業者に対抗するために、マイクロソフトは対偽造作戦を3分野すべてで行っている。教育、技術、さらに強制執行だ。今日発表された世界中における行動は、マイクロソフトが消費者を守ることにさらに強くコミットすることを示すものだ。マイクロソフトが海賊問題に対処するためには顧客やパートナーからの情報が不可欠だ。疑わしいソフトを受け取った人はマイクロソフトの反海賊ソフトホットライン(800) RU-LEGIT (785-3448) に電話するか、またはウェブサイト(http://www.howtotell.com)で詳しい情報を参照してもらいたい。

技術面では、マイクロソフトはウインドウズ7のアクティベーションならびにバリデーションを改善している。ウインドウズ7のウインドウズ・アクティベーション・テクノロジー(Windows Activation Technologies)は、ウインドウズ・ビスタで採用されたソフトウェア保護プラットフォーム(Software Protection Platform)に基づいて作られており、ウインドウズは内蔵されたプロダクト・アクティベーション・テクノロジーによって迂回または害を与えようとするプログラムから自分自身を守ることができ、それによってユーザーはウインドウズの起動がより簡単にできるようになり、問題が起きる前に解決することができる。ウインドウズ7には最新の技術が使われており、それによってユーザーに対するメッセージがより分かりやすくなり、作業をより簡単に行うことができるようになった。

強制執行の面では、マイクロソフト社が世界9カ所にプロダクト・アイデンティフィケーション(PID)アナリシス・ラボを設置したことが挙げられる。これらの研究所の犯罪科学専門家は、デジタル・ディスク指紋技術(digital disc fingerprinting)や光学的製造追跡システム(optical manufacturing tracking)などの最新ツールを使って偽造ソフトを検査し、重要な情報を現地の捜査機関に提供し、ソフトウエア偽造犯罪集団の追跡に使ってもらおうとしている。これらは目に見える大きな成果を挙げている。マイクロソフトのPIDアナリシス・ラボの協力によってわずか2年あまりの間に1000件以上にのぼる偽造ソフトが関税当局の取締によって押収されている。

世界税関機構の御厨邦雄事務局長は「偽造ソフトは世界的な問題であり、不注意な消費者の食い物にする巧妙な犯罪シンジケートに対応するための国際的な対応ならびに戦略が必要だ。怠りない警戒心と政府機関ならびにマイクロソフトなどの企業に対する積極的なフィードバックを行うことによって、一般消費者や企業もこの問題を克服するための役割を果たすことができる。この密売による経済的な不利益は深刻であり、われわれも一緒に努力し、力を合わせ、ともにこの犯罪と戦うことが緊急の課題だ」と語っている。

▽マイクロソフト社について
マイクロソフト社(Nasdaq: MSFT)は1975年に創立され、個人や企業が自らの能力を最大限に生かすためのソフトウエア、サービスならびにソリューションを提供する分野で世界をリードしている。


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