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IFC独立評価報告書、アドバイザリー・ポートフォリオが急増

 【ワシントン2日PRN=共同JBN】世界銀行グループ内の独立組織である独立評価グループ(IEG)は2日公表された「2009年国際金融公社(IFC)開発成果に関する独立評価」報告書の中で、初めてIFCアドバイザリー・サービスのグローバルな検討を行った。このサービスは投資振興・政策に関するカスタマイズされたトレーニングや助言を含めた、途上国の民間部門の開発を支援する民間企業と政府向けのナレッジ・サービスである。報告書はアドバイザリー・プロジェクトの約70%が開発の有効性の面で総合的に高い評価を獲得したと述べている。成績が最も良かったのは欧州南東部・中央アジア地域、最も不振だったのは中南米・カリブ海地域だった。また、IEGは価格政策の実行、良質のプロジェクトデザインの確保、適切なスタッフの配置、世界銀行などその他アドバイザリー・サービスを実施する組織との効果的な協調を含め、サービスの提供における、特に現場での一貫した実施を望む企業の意向への対応のギャップも指摘した。

 IFCのアドバイザリー・ポートフォリオは2001年から約10倍も増加してほぼ10億ドルに達し、現在、現地事務所でアドバイザリー業務に従事する職員数は投融資業務の職員数を上回っている。この事業分野の大きな成長は、開発効果を最大にするアドバイザリー・サービスと投資サービスの適切なバランスに関する重要な問題を提起する。IEGは、IFCがアドバイザリー・サービスの提供のための組織面での改善を図ったにもかかわらず、この業務拡大には首尾一貫したグローバルな戦略的枠組みが伴っていなかったと指摘した。開発効果の実績を左右する主な要因はプロジェクトに対するクライアントのコミットメント、IFCのプロジェクトデザインの質、IFCの現地でのプレゼンスと関与の水準、順序だてるか並列した相互補完的なアドバイザリー・プロジェクトを実施するプログラム型アプローチの採用、効果的なモニタリングと評価だった。

 IEG-IFC局長のマービン・テーラー・ドルモンド氏は「過去5年間、IFCはアドバイザリー・プロジェクトの有効性を高め、増大するサービス提供の構造化・明確化に努めてきた。しかし、まだやるべきことは多くあり、特にこの事業の長期的な持続可能性と開発インパクトを確保するための明確な戦略的ビジョンと資金源のミックスについての設定がそうである」と語った。

 報告書はまた2006-2008年に評価対象となる成熟度に達したIFC投資プロジェクトを精査し、開発成果の成功率は前年の63%に対し72%だったと判定した。この開発成果は、2008年まで総じて改善した現地の経済情勢と、投資プロジェクトの組み立て・査定・監視面でのIFCの仕事の質が強く影響した。一方、現在、実施段階にあるIFCの投資プロジェクトの成績は世界的な景気低迷の影響を受ける可能性が大きいとした。

 このような時期に資金の出し手およびナレッジ・プロバイダーとしてのIFCの役割は特に重要である。ビノッド・トーマス氏は「IFCは民間部門のクライアント向けに資金動員を助ける独自の立場にある。さらにIFCのナレッジに関する専門的経験は世界銀行のそれとともに現在の危機の影響を軽減するリスク管理、ガバナンス、規範を推進する上で極めて重要だ」と語った。

 IFCの全体的な開発効果を高めるために、IEGはIFCによる(1)危機の際のポートフォリオ保護とチャンスへの対応の間にある緊張の効果的な管理 (2)明確な目標、比較優位、人員配置の方法、意味のある達成目標などの明示を含むIFCアドバイザリー・サービスについての総合的な戦略の規定(3)単独型でない、よりプログラム的なアドバイザリー事業実施の追及(4)アドバイザリー・サービス価格政策実施の向上(5)世界各地のアドバイザリー・サービス・プロジェクトのパフォーマンス測定と内部ナレッジ管理の強化――を提言している。

 ▽IEGについて
 世界銀行グループ内の独立した組織である独立評価グループ(IEG)は、開発途上国の貧困削減と人々の生活向上に対する同銀行グループの支援活動の妥当性と影響を評価する。IEG-IFCは理事会で配布したすべての報告書を公表し、人々に評価の結果と教訓を知らせ、説明責任と透明性を推進する。
 IFCマネジメントの報告書に対する回答など詳しい情報はウェブサイト
(www.ifc.org/ieg/reports)を参照。


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