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QPI-1002の患者ドージング、クオークが開始

 【フレモント9日PRN=共同JBN】腎臓移植が臨床段階にあるクオークの全身投与siRNA製品候補の第2の適応症になる。

 RNA干渉(RNAi)ベースの新しい治療薬を発見、開発している発展段階の医薬品会社クオーク・ファーマスーティカルズ(Quark Pharmaceuticals, Inc.)は9日、死体からの腎臓移植を受けた患者の臓器移植後臓器機能障害(DGF)を予防するための同社の全身投与siRNA医薬品候補QPI-1002(旧名DGFi)の評価を行う第1/2相臨床試験で患者ドージングを開始したと発表した。DGFは人間による臨床試験で評価を行っているクオークの全身投与医薬品候補の第2の適応症である。この試験は、現在患者を募集している2つの急性腎臓損傷(AKI)の第1相臨床試験に続くものである。

 マルチセンター、2部構成のDGFの第1/2相臨床試験は最大で204人の腎臓移植を受けた成人を募集する見込みである。研究の第1部は、DGFを発症するリスクが高い腎臓移植患者に対するQPI-1002の1回の静脈注射での安全性、受容性の評価を行うために投与量漸増設計になっている。研究の第2部では、同じ患者グループを対象にQPI-1002の特定投与量の安全性と臨床活性の評価を行う。患者は米国内の臨床施設で募集される。

 クオークのシェイ・アーリック最高医学責任者は「QPI-1002の患者ドージング開始はクオークにとって重要なマイルストーンであると同時にDGFを発症するリスクの高い成人の腎臓移植患者に治療上の恩恵を提供する革新的なアプローチである。このsiRNA医薬品候補はクオーク独自のコンセプトに基づいており、コンセプト的に新しい内部開発から生まれた製品の開発におけるクオークの成功を反映している。こうした実績は革新的な製品候補を発見から臨床段階へと前進させるクオークの能力をあらためて証明するものである」とコメントしている。

 首席研究員であるオサマ・ゲーバー博士(米テキサス州ヒューストンのメソディスト病院エクセレンス移植センターFACSディレクター)は「わが臨床チームは腎臓移植患者の新しい治療法の評価を行う臨床試験に参加することに興奮している。腎臓移植後にDGFを発症する患者は発症しない人に比べ腎臓組織の生存率が劣っている。DGFを予防する医薬製品にとって真に満たされていない医療上の必要があるのだ」と語っている。

 ダニエル・ズール最高経営責任者(CEO)は「腎臓移植患者での第1/2相試験で全身投与QPI-1002の患者ドージング開始を発表できるのは大変うれしい。さらに、siRNA医薬品候補PF-4523655がわが社のライセンス供与を受けたファイザーによって2つの第2相臨床試験-1つは糖尿病性黄斑浮腫、もう1つは加齢黄斑変性-にまで進んだ。それに加えて、クオークが開発した新しいsiRNA構造を使ったQPI-1007医薬品候補が治験新薬申請(IND)で可能になった先進的な臨床前研究で眼病用の神経保護剤としての評価が行われていることをわが社は最近発表した。こうした重要な発展はクオークの臨床パイプラインの堅実性とRNAi分野でのその能力の力強さを確認するものである」と述べている。

 臓器移植後臓器機能障害(DGF)は腎臓移植手術直後の時期では最も一般的な合併症の1つで、米国では死亡したドナーからの腎臓移植の25-40%で起きている。腎臓移植のDGFで最も多いのは、移植された腎臓への血流が再開され、移植によって腎臓に重大な損傷がもたらされる恐れのある一連の事象が始まる時に起こる虚血再灌流(かんりゅう)障害である。腎臓移植後DGFは長期入院を伴い、移植片拒絶の割合を高め、逆に移植された腎臓の生存率(移植片生存率)を低下させる。現在、DGF治療法は市場には出ていない。DGFだと診断された場合、患者は透析などの補助的療法で支えられる。

 治験段階の医薬品候補であるQPI-1002は、プロアプポトーシス遺伝子p53の発現を一時的に阻害するように設計されたsiRNAである。このsiRNAは、正常細胞を急激な損傷から保護するためにp53の発現を一時的に阻害するというクオーク独自の特許を得た治療薬コンセプトに基づいている。QPI-1002はクオークが発見した化学的に変換されたsiRNAで、サイレンス・セラプーティクス、アルニラム・ファーマスーティカルズ両社のライセンスでカバーされている構造を持っている。QPI-1002は人体での臨床段階にある初めての全身投与siRNAだった。

 ▽クオーク・ファーマスーティカルズ(Quark Pharmaceuticals, Inc.)について
 クオーク・ファーマスーティカルズは新しいRNAiベースの治療薬の発見、開発に従事している発展段階の医薬品会社である。クオークは治療ターゲット特定から医薬品開発に至る完全総合医薬品開発プラットフォームを持っている。クオークのRNAi技術には、siRNAに関する知的財産(IP)の領域における活動の自由と、目、耳、肺、脊髄、脳を含む標的組織に非侵襲的にsiRNAを送達する能力をクオークに提供する新しいsiRNA構造と化学が含まれている。

 現在第2相臨床試験中のPF-4523655(RTP801i-14)はクオークが遺伝子発見プラットフォームのBiFARを通じて発見した遺伝子RTP801の発現を阻害するように設計された合成の化学的に変換されたsiRNA分子である。PF-4523655のライセンスはファイザーに供与されている。さらに、クオークの現在の臨床パイプラインには、大規模な心臓手術後の急性腎臓損傷(AKI)、腎臓移植での臓器移植後臓器機能障害(DGF)を予防するためにクオークが開発した初めての全身投与siRNA剤であるQPI-1002が含まれている。クオークが開発した新しいsiRNA構造を使ったsiRNAであるQPI-1007はINDで可能になった先進的な臨床前研究で眼病用の神経保護剤としての評価が行われている。

 さらに、クオークは社内開発の新しい構造に基づくsiRNA医薬品候補の幅広いパイプラインを持っている。同社はこの構造を利用してその他にもRNAi医薬品候補を開発する見込みである。

 クオークの本社は米カリフォルニア州フレモント。米コロラド州ボールダー、イスラエルのネスシオナに研究開発施設がある。詳しい情報はwww.quarkpharma.comへ。


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