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ボーイングとNZ航空、持続可能バイオ燃料のテストフライト実施へ

 ボーイングとニュージーランド航空は、持続可能なバイオ燃料を搭載した747-400型機を12月3日にオークランドから運航することを発表した。ロールス・ロイスとハネウェル傘下のUOPと協力し、同型機のロールス・ロイス製RB211エンジン4基のうち1基に、厳しい自然環境でも生育可能な非食用多年生植物であるジャトロハから生成した最先端のバイオ燃料を一部使用する。ニュージーランド航空は、持続可能性の分野におけるベストプラクティスをベースに生成した、実用化可能なバイオ燃料を使用する初の航空会社となる。

 ボーイングとニュージーランド航空、ならびにUOPは、ジャトロハの栽培やプロジェクト開発を担当するテラソル・エネルギーと密に連携して、入念な飛行前テストを実施するのに充分な量の持続可能なジャトロハを確保した。このジャトロハ原油からバイオジェット燃料への変換はUOP独自の燃料処理技術を活用、世界で初めて、商業ベースで実用化できる持続可能な航空機用バイオ燃料の大量生産に成功した。

 英ロールス・ロイスの技術チームはこのバイオ燃料の検証プロセスの一環として、現在のジェットエンジンの部品と適合しているか、ならびに航空機燃料に必要とされる厳しい性能基準をクリアしているかを実証するために、ラボ(実験室)テストを広範囲にわたって実施した。

 航空機は特殊な環境で使用されるため、代替燃料は現行のジェット燃料に必要とされる以上の厳しい基準をクリアしなければならない。今回のニュージーランド航空のフライトに向けた最新テストによると、ジャトロハベースのバイオ燃料は凝固点がマイナス47℃(華氏マイナス53度)、引火点が38℃(華氏100度)となるなど、核となる要件をすべて満たした。

 ジャトロハ原油の加工に当たっては、現在輸送燃料の生産に一般的に使用されている水素化処理の手法をベースにした、UOPの無公害ジェット燃料処理技術を利用。処理の過程において、バイオマスから酸素を取り除くために水素が付加され、その結果石油の代替となるバイオベースの民間航空機用ジェット燃料が生成された。

 ボーイングは現在、持続可能な植物ベースの燃料など、米国材料試験協会が定める現行標準の修正に向けた業界全体の取り組みの一環として、航空会社やエンジンメーカーと協力してバイオ燃料の性能に関するデータを収集している。幅広い条件下で生育可能なジャトロハは、燃料用に採取・使用される非食用の脂質分を含んだ種子をつくり、各種子からは3~4割の油が取れる。今回のニュージーランド航空のフライトの燃料を生成するのに使用された植物油は、インドやアフリカ南東部(マラウイ、モザンビーク、タンザニア)の非耕作地で生育されたジャトロハから取れたもの。


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