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アジア太平洋地域上昇、レガタム繁栄指数で豪が1位

 【ニューヨーク14日PRN=共同】民間の研究機関、レガタム研究所が毎年発表している、世界104カ国の「豊かさ」を測るレガタム繁栄指数で、今年はオーストラリアが第一位となった。この指数は、経済競争力と生活の質の度合いの双方から44の指標を指数化し算出するもので、それぞれの国がどのように経済成長と生活の質の向上を図っているかをみて物質的な富と生活満足度を総合的に判断する指数となっている。今年はシンガポール、香港、ニュージーランドがそれぞれ4位、8位、9位に入るなどアジア太平洋地域の国・地域が目立っている。最低はアフリカのイエメンで、そのほかザンビア、ジンバブエなどいくつかのアフリカ諸国がそれに続いている。全順位は以下のサイトでみることができる。http://www.prosperity.com.

 シンガポール、香港、台湾、日本が指数の上位を占めているが、これは
(1)世界の他の国よりも所得の伸びが大きい
(2)教育制度が優れている
(3)非常に効率的な市場重視型の規制策がとられている
(4)所得の伸びの高さに焦点があてられている
(5)世界経済に効率的に対応できる能力がある
-などが要因である。

 これらの国は、経済競争力関連の指標では高い点数だが、女性に対する機会均等に限りがあることや自然環境の悪化、長い労働時間など生活の質を示す指標が相対的に低く、これが総合的な豊かさの足を引っ張る結果になっている。

 これに対してオーストラリアが第一位となったのは、教育、政治、起業の促進策なでの点で高い実績を示したためで、健康、寄付行為、効果的な政治など生活の質を示す指標でも高い点数を獲得するなど豊かなサービス重視経済国として再び浮上した。市民参加度や健康水準の高さ、余暇時間の多さなども生活の質を示す指標の高さに貢献している。隣国のニュージーランドと比較するとオーストラリアは、投下資本の伸びや教育など経済競争力の面で点数が高いが、生活満足度の点では、国民に快適な環境をもたらし地域社会での生活を確保することを公約していることからニュージーランドとオーストラリアは肩を並べている。

 一方中国は、最近の急速な経済成長にもかかわらず、台湾、香港に比べて経済競争力はかなり低い。生産目的の資本投下や教育水準、一人当たりでみると所得水準は依然として低い点などが理由だ。生活の質の指標では、台湾と香港の政治システムは、中国本土に比べてかなり自由かつ機能的であり、政治的権利の点では台湾が、また汚職の抑制では香港がそれぞれトップとなっている。

 レガタム研究所の上級副所長であるウィリアム・インボーデン博士は「真の豊かさとはおカネの問題だけではなく、幸福度や健康度、自由なども含むものだ。繁栄指数は、その社会の豊かさが経済的成功に加えて、強い家族・地域社会との絆、政治的・宗教的自由、教育、機会、健康的環境などに基づいていることを示している」とコメントした。

 ランクの高い国々はいずれも、高い共通の要因があり、特に上位10カ国をみると(1)投下資本の伸び(2)政治面における経済問題のすぐれた処理(3)技術革新の商業化(4)政治問題のよりよい管理(5)高い所得水準-の経済指標が高い得点をなっている。

 逆に下位25%は選択の自由度合いに加えて、上記の指標の得点が特に低い。またこれらの国々は、低い所得や外国援助への依存度の高さなどが指数を押し下げている。

 2008年版の繁栄指数はまた、その国の繁栄を進めるには個人、政府の双方ともが重要な役割を果たしていることが分かった。レガタム研究所のマネジング・ディレクター、アラン・マコーミック氏は「2008年のレガタム繁栄指数は、政府だけでは繁栄をもたらせないことを明らかにしている。しかし政府は、懸命な政策の実施を通じて繁栄を促す環境を強化することはできる。国民個々人は自分の生活を自らのものとすることに責任がある。また、より豊かな国では自由と特権の拡大を伴う機会に取り組まねばならない」と述べた。個人の豊かさを測るためのウェブサイトも開設されている。 http://www.myprosperity.com

 マコーミック氏は「世界的な経済不安が広がる中で、今年の指数で分かったことは今回だけのものではありえない。繁栄指数は、長期的な国の豊かさを進める上でのマニフェストであり、社会のあらゆる部門の指導者を導くものだ」と結論づけている。

 ▽レガタム繁栄指数
 レガタム繁栄指数は世界100カ国以上の国を対象に、40年以上にわたるデータの統計的分析に基づいて、レガタム研究所が監督・算出している指数で、研究・コンサルタント機関のオックスフォード・アナリティカや、経済学、歴史、開発、社会学、政治学などのすぐれたアドバイザーで構成されるパネルからの情報も反映されている。

 ▽レガタム研究所
 レガタム研究所(LI)は、レガタム企業グループに属する独立して政策、特定の見解報道、顧問業務を行う機関で、世界的な繁栄、人々の自由拡大、生活向上を促す原理原則を調査・促進するのが使命となっている。

 研究所は、国際資本市場での投資を行い、持続的発展を促す世界的な投資会社であるレガタムの後援を受けている。研究所に関する詳しい情報が得られるウェブサイトは、http://www.li.com

 ▽主なランキング
 繁栄指数での上位20カ国は以下の通り
1  オーストラリア
2  オーストリア
3  フィンランド
4  ドイツ
4  シンガポール
4  米国
7  スイス
8  香港
9  デンマーク
9  ニュージーランド
11 オランダ
12 スウェーデン
13 日本
14 ベルギー
14 カナダ
14 フランス
14 ノルウェー
14 英国
19 イスラエル
20 アイルランド

他のアジア諸国のランキングは以下の通り
21 台湾
26 韓国
29 マレーシア
35 タイ
52 フィリピン
54 中国
69 スリランカ
70 インド
71 インドネシア
80 ベトナム
85 パキスタン
89 バングラデシュ
90 カンボジア
98 ネパール

 繁栄指数の上位3カ国であるオーストラリア、オーストリア、フィンランドは各国それぞれの経済、社会的道筋による幅広く充実した繁栄の新しい原則を示している。
 オーストラリアは、健康、寄付、効果的な政治など生活の質を示す指数で高得点を得て豊かなサービス重視型経済の国として再浮上した。市民参加度や健康水準の高さ、余暇時間の多さなども生活の質を示す指標の高さに貢献している。

 オーストリアは長期的な所得の伸びに欠かせない教育面で得点が高く、生活の質の鍵である健康面でも高い点数だった。フィンランドは豊かさや生活水準を向上させる政治での点が高い。また同国は、国民が自分の人生を選択する自由に対する満足度も高かった。
 指数の上位25%の国々をみると、指数の内容は国によって異なる。北欧諸国のいくつかは、生活の質を示す指数では高かったが、起業促進策など富を増やすいくつかの要因では点数が低かった。多くのアジア諸国は経済競争力の指標では高い得点だったが、女性の機会均等、自然環境の悪化、長い労働時間など生活の質の面では相対的に弱い結果だった。

 どの項目でも落第点を取った国はなかったが、イエメンはそれに近い結果だった。イエメン国民は宗教心には依然として厚いが、極度の貧困と政治の貧しさの悪影響を被っている。下位ランクを占める国のほとんどは、極度の貧困がその最大の理由とみられるが、極度の貧困はまた健康の悪化、失業などに影響を与えて生活水準にさらに悪影響をもたらす。ジンバブエ、スーダンはともに貧困と政治的抑圧の国である。

 ▽繁栄指数のリサーチにあたっての観察点
 発展度合いによってその国の施策の重点は異なり、一人当たり平均所得が1万米ドル以下の貧困国は所得問題が特に優先課題となる。こうした国々にとっては、最も重要な経済競争力の構成要素は、(1)効果的な政府(2)教育水準(3)投下資本の伸び(4)起業コストの低さ(5)技術革新の商業化(6)外国援助への依存度引き下げ(7)国際商品輸出への依存度の引き下げ(8)経済の開放度-となる。

 一人当たりの所得が2万ドルを超える国々は、経済成長を維持する重要な要因は(1)投下資本(2)教育(3)起業促進(4)技術革新の商業化-の4点だ。

 さらに、より豊かな国では、物質的豊かさだけにとどまらないことが繁栄を続ける重要な要因で、最も重要なものとしては(1)高所得の継続(2)高い健康水準(3)政治的権利と市民的自由(4)選択の自由(5)寄付活動(6)家族生活(7)機会均等(8)快適な自然環境(9)地域社会での生活(10)宗教的自由-があげられる。

 繁栄指数のウェブサイトはhttp://www.prosperity.com。また個人的繁栄を測るためのサイトはhttp: //www.myprosperity.com.で、 http://www.prosperity.com とhttp://www.cantos.comでは、インボーデン博士とのインタビューがビデオ、テキストともに手に入れることができる。


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