社説　波紋

臭いものには・・・

　臭いものには蓋をする、しろの諺がある。バレたら困る、都合の悪いことに対して、安易に、一時しのぎに隠そうとする例えである。

　築地市場移転先の豊洲予定地では、土壌汚染の公害対策に採用する筈であった盛り土が、元々の設計とは異なる空間のあるコンクリート構造に変更され、この蓋違いによって安全性をはじめとする問題が起きている。

　始まりの諺に用いられている蓋の使い方とは意味は違うわけだが、そもそも新知事になって現市場の移転時期延期決定が潜在する問題の蓋を開けたことに捉えられる。見方を変えれば、問題が有ることを解っていたから蓋が外れる前に開けたとも。

　ようするに、問題や不都合は隠しきれないということなのではないか。我々の仕事でも、ついつい先送りにしてしまい、後からその代償を払う破目になることも。対応の良さから取引開始の逆もある。

　もう少しで衣替えの時期になり、服装も変化していく。ネクタイ以外にも締めなくてはいけないものがあるのでは。


[2016年9月27日付け本紙2377号掲載分]

［ 2016.10.07 金曜日 12:16   - ］

バックナンバー