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社説 波紋

何銭という通貨単位を使用した製品

 誰もが昨年よりもさらに良く、期待できる一年であって欲しいと願い、迎えた新年。多くが気になるのは景気、経済動向である。安倍政権一年目は景気対策に様々な施策が打ち出され、ねじ業界も高度化や新たな活路を見出す等の目的から、各企業において助成金等の活用がみられた。

 今年はというとこれからの通常国会で早期成立を目指す当年度補正予算に加え、平成26年度予算案の一般会計歳出総額が過去最大の約96兆円を請求している。社会保障費が30兆円を初めて超えてはいるが、予算重点化に設けられた枠など企業向けの補助金は多く盛り込まれているようだ。

 出るものが多ければ入るものも多くなくてはいけない。よく言われるプライマリーバランス(基礎的財政収支)だ。大手企業経営者のアンケートでは4月の消費税率引き上げに一時的な消費の落ち込みは予想されるものの、半年後の秋口には回復を見込む判断が多くを占めて、歳入となる税収は7年ぶりに50兆円を上回るものとしている。

 消費増税を見越した動きは多様にみられるが、財務省が暫くぶりに一円玉と五円玉の本格製造に入るという。税率が5%から8%へとの変更に伴い、計算上は一円単位の端数が出やすくなるため、その対応に実施されるようだ。近年は、記念販売などセット向けが主であり、製造のピークは消費税導入の1989年としている。

 ねじ業界全体の動きは未だに斑模様の展開ではあるが、一部の産業・市場・需要家向けには上伸する好調ぶりも窺え、増税後を乗り切れば一層の良い方向へとの期待も高まっている。何かしらの消費増税の影響はあると思われ全てとは言わないが、一般には流通しない何銭という通貨単位を使用した製品での商売は「老馬の智」のもと、一つ一つを地道に積重ねていくことが本命であろう…。
       
[2014年1月1日付け本紙2279号掲載分]


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