[PR]
ステンレス製品が20〜40%価格改正
【ねじ・ネジ・業界紙】ステンレス鋼製ねじのメーカー筋によると、ねじ用材料が供給サイドからの再値上げを受けて高騰しているため、ボルト・ナット・小ねじ・タッピンねじ・木ねじなどステンレス鋼製製品全般にわたって20〜40%の価格改正を2月帳破より実施するとの意向を表明している。既にボルト類のメーカーでは年初に価格改正を行なっているが、供給サイドからは各ねじメーカーへ今後の材料値上げについても打ち出されており、時局に応じた製品への値上げ分の価格転嫁を図っていくものと思われる。
ステンレス鋼線価格は、一昨年・昨年に材料メーカーの強行姿勢により数度の値上げが行なわれた。ステンレスメーカーとしては、長期にわたる市況低迷の影響で製品価格が下落し、昨年2月からの材料値上げ分はトン当り十万円のコストアップとなり、一部の製品では採算割れとなっている状況。従って、材料値上り分をメーカーで吸収するのは到底困難であり、値上げ分に相応した製品への価格転嫁に務めてきた。
しかし、原料のニッケルおよびスクラップ価格は高騰を続け、年初のマーケットではニッケル価格がトン当り百七十五万円の最高値相場で取引されるなど、世界的にニッケル・スクラップともに逼迫の兆候が強まっている。このため海外においてもステンレス鋼の価格上昇と製品のタイト感は極めて強く、海外ねじメーカーの中には品薄状態もしくは生産停止に陥っているケースもみられる。材料メーカーでは、このような国際的な動向に加えて、中国向けをはじめとするアジア諸国などへの輸出が好調なことと、採算性を重視した生産体制による減産計画を背景に、再びステンレスねじ用材料の値上げをおこなった。
ねじメーカーでは、経営環境は依然として厳しい状況に変わりはなく、従来通りに市場への製品安定供給の全うと適正な企業利益を求める採算性の追及には、材料値上げ分については製品へ転嫁せざるを得ない―とし、全ての製品を対象に20〜40%の価格改正を2月帳破から実施する意向が各方面で表明されている。
なお関係者の話によると、国際相場動向や減産計画からも解かるように一昨年来より高炉並びに伸線メーカー側の値上げ姿勢が崩れることはなく、供給面でも実績の二割・三割削減は当り前のような話になっていて、新規のオファーへの対応は侭ならない状況など、ねじメーカーにとっては材料を確保するためには値上げを受け入れる選択肢しかないと語る。また、輸入ステンレスねじ用材料並びに製品においても国内同様に価格の改正は必然的となっていて、値上げと同時に入荷状況が悪化しているとのことから、国内メーカーとしては断続的な材料値上げ傾向を踏まえ「供給責務を全うするための対応」を急務に取り組んでいくとしている。
ニッケル市場は、やはり中国マーケットでの急激な需要拡大が需給バランスに一層の影響を及ぼすほか、国内ではステンレス鋼用やIT向けが堅調な需要をみせると共に一時落ち込んでいたニッケル水素電池関連も徐々に回復基調にあり、来年以降のニッケル供給不足は予測されていることから、大幅なニッケル価格の下落要因はみられないとの見方を示している。
第1923号
見出し一覧
- ステンレス製品が20〜40%価格改正 -- 2005/02/23 水曜日