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世界を変える7つの技術、IEEE125周年で討議

 【ピスカタウェー(米ニュージャージー州)11日PRN=共同JBN】世界最大の技術専門家組織であるIEEE(電気電子学会)は11日、125周年を記念して人間と機械、世界の交流、人間相互の交流方法について世界を変える意味を持つと信じる7つの技術にスポットライトをあてた。

 2009年3月10日、ニューヨークのニューヨーカー・ホテルで、ニューヨーク・タイムズ紙のシニアエディターで技術リポーターのスティーブ・ロアー氏の司会する技術専門家のパネルが世界を変える可能性があると信じるバイオメトリクス、コンピューティング、ワイヤレスパワーなどにわたる分野の新興技術について討議した。

 2008年のIEEE会長であるルイス・M・ターマン氏は「125年にわたりIEEEとそのメンバーはそれがない生活を想像できないような技術のほぼすべての出現に影響を及ぼしてきた。本日、人類の向上のための新興の技術革新、技術の進展のいくつかの開発を推進した人たちとともに、将来に目を向ける」と語った。

 参加したパネリストと討議された技術は次の通り。

 ―IEEEのシニアメンバーでWiTricity最高技術責任者のケーティー・ホール博士。
  ホール博士は中央の発電源から数メートル以内の一般的な家電機器にワイヤレスで電力を送ることができる新技術を実行している。これはワイヤレスパワーの恩恵を消費者、産業界、医療、軍事、輸送市場にもたらし、その過程で生命、エネルギー、環境の救済を援助することを目指している。

 ―IEEEフェローでサウスフロリダ大学教授のランガチャー・カストゥリ博士。
  カストゥリ博士のチームは画像、ビデオ中のテキスト、顔、車を探知、追跡できる枠組みを確立した。最終目標はコンピューターが遠距離から、また望ましくない条件でも、車、人間を探知、認識できるようにして、環境、健康、安全上の脅威の可能性をより速く、より正確な探知につなげることである。

 ―IEEEフェローでメリーランド大学カレッジパーク校のK・J・レイ・リウ博士
  リウ博士とそのチームは簡単な血液検査で個人のゲノム信号とタンパク質信号の間のインタラクションを検査することによって、その人ががん発症の過渡段階にあるのかどうかを判定し、そのタイプを特定できるモデルを開発した。この情報でその人にがん発症の危険があるかどうかを最も速く予測することができ、予防的な治療が可能になる。

 ―IEEEシニアメンバーでIBMアルマデン研究センターのコグニティブ・コンピューティングのマネジャーであるダルメンドラ・モドハ博士。
  国防高等研究計画局(DARPA)が資金を出しているSyNAPSEと呼ばれるプロジェクトで、モドハ博士とそのチームは感覚、直感、行動、インタラクション、認識に関する脳の能力のシミュレーションを行うコンピューター・システムを構築している。これには日常的なコンピューターの機能、反応率を大きく改善して、変わり続けるデータに基づいて瞬間的な判断を行う金融業者を助けるなど無限の実際的なアプリケーションを提供できる可能性がある。

 ―IEEEメンバーでデューク大学医療センター神経工学センター教授兼共同センター長のミゲル・ニコレリス博士。
  ニコレリス博士とそのチームは人間の脳がロボットと交信して、ロボットが視覚や触覚を使わずに脳に直接返信メッセージを送れるマイクロチップを開発した。博士はこの研究で将来は人間の脳から人間の脳へのコミュニケーションができると信じている。目標はこの研究と世界の科学者の研究で2012年までに「ウォーク・アゲイン・プロジェクト」と呼ばれるプロジェクトで、完全な四肢まひ患者が再び歩けるようにすることである。

 ―IEEEフェローでライス大学ジョージ・ブラウン工学部教授のクリシュナ・パレム博士
  パレム博士は、計算の正確性を下げてその代わりにエネルギー使用を大幅に減らし、携帯電話などの機器の充電を数日ごとにではなく数週間ごとにできる技術である確率論チップ技術を開発した。この技術を使ってパレム博士はLEDロールアップ「スレート」を製作して、非常な低コストで、ごくわずかなエネルギーを使うだけで、貧困地域/へき地の学生向け教材へのアクセスを可能にし、世界的に教材へのアクセスを助ける機会を提供している。

 ―IEEEフェローでインテル社のシニア・プリンシパル・エンジニアであるロイ・ウォント博士
  ウォント博士はモバイル機器の性能を大きく改善し、ディスプレー、ネットワーク、プロセシング、ストレージ、周辺機器を含めコンピューター間で複数のリソースを共有する能力を提供するダイナミック・コンポーザブル・コンピューティングという名のモバイル・ソリューションを構築している。例えば、携帯電話のユーザーがカメラ付き電話を持っていなかった場合、許可が得られていれば、近くにあるほかの機器のカメラにワイヤレスでアクセスできる能力を持つことになる。

 これらの技術およびIEEEの125周年についての情報、あるいはイベントのウェブキャスト視聴はwww.ieee125.orgへ。

 ▽IEEE125周年について
 2009年にIEEEは「未来をつくる125年を祝う」というテーマをサポートするイベントと活動で、工学と技術における創意と革新の125年を祝う。1年間にわたるIEEEの記念行事には各地や世界的なメンバー、顧客のイベント-IEEE会長の第1回学生向け「チェンジ・ザ・ワールド」コンペ、新興の世界を変える技術に関する世界的なメディア円卓会議とウェブキャスト、2009年5月13日の未来をつくるIEEEデーなどが含まれている。

 IEEE125周年についての詳しい情報はwww.ieee125.orgへ。

 ▽IEEEについて
 IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)は世界最大の技術専門家組織である。160カ国、37万5000人以上のメンバーを通じて、IEEEは航空宇宙システム、コンピューター、電気通信からバイオメディカル・エンジニアリング、電力、消費者エレクトロニクスにわたる幅広い多様な領域で有力な権威である。技術の進展に専念するIEEEは電気・電子工学、コンピューター・サイエンス分野で世界の文献の30%を刊行しており、900近い現在の業界標準を開発した。また毎年世界で900以上の会議のスポンサーになっている。IEEEについての詳しい情報はwww.ieee.orgへ。


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