舌が肥えるという事実
良い部屋に住めば、それ以下の部屋に住み辛い。
素敵な女性と付き合えば、それ以上の女性でないと付き合えない。
素晴らしいアーティストに出逢うと、その人以下の芸術は嗜めない。
人間という動物は五感が発達していて、自分の価値観や感覚を曲げるのが苦手な動物です。五感の中でもわがままだなと思うのが「味覚」。事実、舌は肥えるのです。例えば、私は二十代の頃、マクドナルドのポテトが大好きで、仕事の休憩中には必ずLサイズのポテトを購入して食べていました。休日は職場の同僚と食べ放題に行く。ビュッフェスタイルも大好きでした。とりあえずおなかが満たされればいいや、という感覚ですね。ところが銀座で働くようになり、初めてホンモノのお寿司を食べた時に衝撃を受けた訳です。まず、食べるにも食べ方があるじゃないですか。それを知らないから最初から「雲丹ください!」って言ってしまって……。しかし、ここは好きなものを食べればいいや、の世界じゃない。暗黙のルールやマナーが付きもの。食事もお勉強の世界なんですね。そういう事を学びました。日常的に同伴で夕食はお寿司、天ぷら、懐石、鉄板焼き……そういうスタイルになってくると、もう舌自体が変わってしまうのです。あのポテトは食べられない。市販の揚げ物もNG。年齢を重ねて食べられなくなっているのもあるのですが、根本的に舌が受け付けない。舌が喜ぶもの、新鮮で質が良いものを選別してしまう。値段=味や価値、ではないですが、やはり銀座は一流。美味しそうにふっくら肉厚のアジフライをテイクアウトして食べた時、痛感したのです。「あ、駄目だ。舌が肥えたな」って。揚げ物って、食べてから暫く時間が経って、胃がもたれるのは年齢的なものとか胃が弱っているせいだとか理由付けができるのですが、ひとくち食べた瞬間に�牋磴Ν瓩隼廚辰燭蕕笋呂蠅修譴論紊�肥えたのです。お寿司でもそう。パスタでもそう。ちゃんとしたシェフ、料理人の手によって、新鮮かつクオリティの高いものを口にしているなら、それが当たり前になります。ある意味、味が解るというのは良い事だし、お金さえあればいくらでも良質な食事をすればいいと私は思います。
『そう言えば、舌が肥えたなぁ』そう感じているあなたのお庭は、もしかして銀座ですか?
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- 舌が肥えるという事実 2023.09.07 木曜日



