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「派閥」

 「女の園って感じだね」「君はどのママに属してるの?」ええ、ええ。そりゃありますとも、派閥。ちょっと怖い感じがしますか? いえいえ、それは殿方の世界でも同じです。独りで仕事をしない限り何処でも少なからず人間関係は発生する訳で、上司部下の相関図は出来上がっているはずです。大人は�犢イ�嫌い�瓩鯑睫未卜韻瓩討�けますが、それは存在している。――そうです、それが派閥の始まり。ホステスたちにとってオーナーママは経営者。チーママは副社長。売上や在籍期間によって、ホステスにも部長、課長、新入社員という階級があります。そう考えると昼の世界も夜の世界も同じではないでしょうか?

 さて私の場合。一軒目は十名ほどの小さなお店でオーナー、チーママ、フロアマネージャー、その三名が上司でした。駆け出しの私にとって派閥という感覚が分かるわけもなかった。……ですが、マネージャーのお姉さんが贔屓目に可愛がって下さった思い出があります。二軒目は三十名の在籍を超える中箱のお店で、オーナー、チーママが複数、売り上げのお姉さんも多数いらっしゃいました。一晩に二回転以上する人気店で客数が凄かったので結構ややこしく……。何処に属すかなんて嫌で堪りませんでしたが、派閥と言う感覚を覚えた時期でした。ある程度のクラブに身を置こうと思えば、平和主義は通用しない世界なのだと。三軒目も中箱でしたがオーナーだけが上司。私はお客様を抱えるようになり、今度は自分がヘルプと呼ばれる女性たちを部下として使う立場になっていたのです。自分の裁量で他のホステスたちを動かすというのも複雑なもの。みんな平等に接したかったけれど仕事熱心な子にお客様を任せようとするので偏りが出てしまうのです。嫌だなと思いながらも……、そういう環境に馴染んでいく自分が居ました。

 しかし、銀座における派閥は「どす黒いもの」と一括りで終わりません。チームワークが形成されるからです。幾ら頑張ったところで、自力でやれる領域は決まってきます。そういう観点から考えると、老舗クラブの経営をしていらっしゃるママたちは人を使うのが非常に巧い。範囲外の分野をある程度人に任せる事で心身共にラクになるのです。だからこそお店を存続できるんですね。
派閥=チームと捉えれば派閥も捨てたものじゃありません。資本主義が顕著な銀座においては、切磋琢磨できるという意味でも派閥は絶対的に必要な要素なのです。





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