筋金入り
「どれだけ芯があるか」これは人生の岐路に立たされたとき、未来への方向性を決めるのに重要です。大げさに言うようですが、普段の生活の中でさえ時間の流れに自分の身を委ねているようで、実は一瞬一瞬を選択して生きています。ですから意志が強ければ強いほど、日々自分の�牋媚廰瓩諒�向へ近づいていると言えますよね。
さて、昔から「一本筋の通った良い男」なんていう言葉がありますが、今回書かせて頂くのは、そういうお客様の話です。京都の機械メーカーの会社にお勤めでかなりの美食家。いわずもがなお酒にも精通しておられます。大衆的な食事処は然る事ながらグランメゾンのランクのお店へ足繁く通われています。よくその方のSNSを拝見するのですが、その頻度には驚いてしまいます。出張ではその土地土地でまわらないといけないお店が多過ぎて大変だろう。一体いつお休みになっているんだろう。胃腸は、お身体は大丈夫なんだろうか……そんな感じです。好きなものは好き、やるべき事はやる、その逆も然り。そんな真っ直ぐさをお持ちだからこそ、タイトスケジュールをこなし運びたいと思う所へは行かれるのでしょう。
ある時、その方に言われたのです。「売れたい作家になりたいのか」「人に認められなくても自分が表現したいものを突き詰めて書くのか」どっち? って。�爐呂鱈瓩箸覆蠅泙靴燭佑А2燭箸覆�書く事が好きって想いだけでやってきましたから。自分がどうしてもこれを表現したいっていう一貫性と情熱が曖昧に霞んでいた時期だったのです。
「自分も……なりたかったからな」ポツリとそう言われた時、思わずその方の顔をまじまじ見てしまいました。お世話になってから早六年の月日が経つのにそのお客様の何を見てきたんだろうって。数日間その言葉が頭から離れず、焦りが生まれました。自分はどうなりたいのか? 方向性を確立しないといけない時期に立っているのだと。筋を通すというのは、たとえ少数派であっても周りに流されず自分なりの考えのある人間です。なんだか手強そうなイメージのある言葉ですよね。でも人間、そうでなくっちゃ! 私は、そのお客様にそんな託宣を頂いたのです。
本紙2018年12月7日付(2456号)掲載
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