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小池安雲の色の魅力

第52章

 桜舞い散る季節になりました。街には初々しい学生や社会人の姿が溢れていますね。私は、桜の下で撮影された記念写真という構図がとても好きです。桜の華やかさが制服やスーツ姿を引き立てますし、その立派な姿を微笑ましく見るご家族の笑顔にそれまでの道のりが現れていて愛を感じます。ピンクは、無条件の愛の色。条件や能力や外見や性格などではなく、もっと根源にある「ただ、好き!」というエネルギーです。桜との記念写真が胸を打つのは、親から子への無条件の愛情を感じるからかもしれません。

 先日、埼玉県幸手市にある権現堂桜堤という桜と菜の花の名所へ初めて行ってきたのですが、ピンク色と黄色が目の前に広がる景色は実に壮観でした。黄色は喜びの色。ピンク色の無条件の愛と黄色の喜びに囲まれて、集った人たちはみんな笑顔でした。たとえ元気のないときでも、こうした色に囲まれていればきっと元気になりますね。それが色の魅力です。

 色は心理状態にリンクしていて、選んだ色はその時の心理状態を表しています。私は半年前くらいからクリア(白)の色だけを選ぶようになりました。白は「頭が真っ白になる」という表現があるように“無”の色です。何もない、無の境地。無があるから有がある、般若心経の色即是空・空即是色の世界です。この無の境地について、頭ではわかったつもりではいても長年腑に落ちない感じがしていました。どうにか納得しようと、日々探求して“無”に光を当てる日々。あるとき、とても気分の落ち込む日がありました。自己嫌悪で心がとても重くなる、暗黒の境地に。やる気もエネルギーも無いそのときに、“無”は白だけではなく黒でもあるんだという当たり前のことに気づいたのです。光と暗闇、陰と陽。このセットこそが、すなわち無でした。暗闇があるからこそ光が見えるという事実が体感できたとき、落ち込んでいた気分は浮上していきました。

 4月は新たなスタートの時期。これから大変なこともあるでしょうが、落ち込んだときだからこそ見える光や気づける事柄があります。暗闇の良いところは光がすぐにわかること。真っ暗なほど、ほのかな光も見えるはず。普段は気づけないことに気づけるヒントが得られるかもしれませんよ。

 ここでいつものワンポイントアドバイス。黒は暗幕の色。自分の内面を隠したいときには便利ですが、使いすぎると「得体の知れない人」と思われてしまう可能性が。くれぐれもご注意あれ!


2016年4月17日付・第2361号紙面より


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