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小池安雲の色の魅力

第107章

 今年もあとひと月半ほど、街ではクリスマスソングが聞こえるようになりました。年末と言えば、2020年の流行語大賞のノミネートが発表されましたね。私は流行に疎いのですが、ノミネートのなかに大好きなものを見つけました。「鬼滅の刃」です。映画は公開24日間で200億円突破、興行収入歴代5位という爆発的ヒットを記録。こんなにも多くの人に響くとは、いったいどんな物語なのかと思われるのでは… 私は興味深々だったところ「あれは、新しい時代の愛のヒーローだ!」と周囲が絶賛したため、まずはアニメから見始めました。

 鬼滅の刃は、家族を鬼に殺された少年が、妹を救うために戦うストーリーです。
 どのあたりが新しいヒーロー像なのか。従来の戦う物語は、友情に厚く、敵を倒して強くなるヒーローが多かったように思います。鬼滅の刃もその王道をしっかり押さえているのですが、少し異なるのは、主なテーマが腕の強さや勝利ではなく、心の強さと慈愛である点です。主人公は、愛をもって敵と対峙します。味方のみならず敵をも尊重するキャラクターが刀を持って戦うというのは、非常に珍しいのではないでしょうか。

 そして映画“鬼滅の刃~無限列車編”は、アニメに続く物語です。映画にはいくつかのサブタイトルがあるのですが、そのなかに「心を燃やせ」と熱い言葉があります。これは炎を操る味方の台詞なのですが、そのキャラクターのカラーはレッドとゴールドです。まさに、炎の象徴ですね。

 レッドは情熱と力と生命の証。そしてゴールドは魂の象徴です。その色を持つキャラクターから繰り広げられる「情熱を持って魂を燃やし尽くせ」という力強いメッセージに、「私はちゃんと魂を燃やしているだろうか?」と自問自答しながら映画を見ていました。

 さらに、レッドとゴールドの二色を合わせると、コーラルピンクになります。コーラルは、痛みから優しさと強さを得る象徴です。生きていると、痛みは避けられません。しかし、それでも前を向いて生きていく。鬼滅の刃は、コロナ禍で痛みを避けられない今の時代に求められる物語だと感じました。私たちには、痛みから逃げるのではなく、受け止めながら生きていく強さが今必要なのかもしれません。

 ここでいつものワンポイントアドバイス。レッドとゴールドの組み合わせは、やる気を出すのにぴったりな色合わせです。ただ、かなり力強いため、暑苦しく思われる場合もあります。くれぐれも、使いすぎにはご注意あれ!

2020年11月17日付・第2526号紙面より


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