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「るろうに剣心」試写評:技術に戯れずリアルに表現、役者力が光る

るろうに剣心
佐藤健さんが演じた緋村剣心(左)と江口洋介さんの斉藤一。緊張感が漂った
<映画試写評:るろうに剣心>

 原作に敬意が示された映画と言うべきか。過去の罪を清算しながら新たな生き方を模索する剣心の葛藤を描きながら、明治維新後の日本のあり様、侍の心の行方を捉えた原作の意図を汲み取っている。決して恋愛や映像技術に戯れることなくリアリティーさを追求。そうしたなかで“勝算のある役者”はそれを表現する上で要となったのであろう。

 原作はシリーズ5506万部を誇る大ヒット漫画。それ故に重圧は計り知れないものがあったに違いない。大友啓史監督(兼脚本)自身も「(実写化は)ハードルが高い」と思っていたようだ。そんな状況のなかで描ききった今作は…。端的に言えば、漫画の世界感を見事なまでに“実写化”した―ということであろうか。配役に然り、アクションに然り、原作のイメージを崩さずにリアルに表現した。まさに期待通り。

 監督が「僕にとっては一番勝算のある役者(佐藤健)がやりたいと言ってくれる。彼とならこの原作に全力でぶつかっていける」と語っているように、配役は全てがハマっていた。主役の緋村剣心を演じた佐藤健さんをはじめ、原作でも高い人気を誇る斉藤一の江口洋介さんはまさにピッタリ。ほかにも鵜堂刃衛の吉川晃司さんの不敵さ、高荷恵の蒼井優さんの色っぽさなども光った。

 更に“実写”としてのこだわりも見た。それは生身のリアル感。「アクションのなかに、登場人物たちの人間性やドラマを描くことが目標でした」と監督が語るように、CGには頼らず“生身”で表現した。実際にアクションシーンは殆どの出演者が自身で挑戦したといい、痛々しい場面もあった。

 佐藤健さんも「役者生命が終わるくらいの覚悟で、本気の斬り合いにみえるよう練習しました」と語っている通り、飛天御剣流の表現方法も含め、斬り合いなど闘いのシーンも観るものを圧倒させる。江口さんの斉藤一、吉川さんの鵜堂刃衛との一戦は緊迫した空気が流れ、その描写に惹き込まれた。

 強烈なキャラクターが多数ひしめく中で、個々の人物像をしっかりと表現している点はさすが。監督の「それぞれの役者が怪演していますので、彼らの芝居やキャラクターへの憑依ぶりを純粋に楽しんで頂きたい」が当てはまる。ストーリーや迫力のアクション感も含め、初めて見る人も十分楽しめる内容ではなかろうか。

<『るろうに剣心』>
8月22日(水)、23日(木)、24日(金)先行上映決定
2012年8月25日(土)より全国公開 
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

【ストーリー】
幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられていた伝説の剣客・緋村剣心。彼は明治という新しい時代の訪れとともに姿を消し、「不殺(ころさず)」の誓いをたて、流浪人として旅をしていた。ある日、「神谷道場」の師範代をつとめる薫を助けたことから薫のもとで居候することになるが、その頃、街では剣心のかつての呼び名・抜刀斎を名乗った人斬り事件が勃発していた…。

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