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シャープ、携帯機器向け燃料電池で世界最高の出力密度を達成

 シャープは、モバイル機器向けのダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)で、世界最高の出力密度20.3W/ccを達成した。これにより、小さい電池体積で効率よく発電できることから、現在主流のリチウムイオン電池と同等の体積でより長時間連続使用が可能な燃料電池の実現が期待できるとし、今後、携帯情報端末や電子辞書、ノートパソコンなどモバイル機器向け燃料電池の実用化に向けて、一層の研究開発を進めていく考え。

 燃料電池は、水素と酸素の化学反応によるエネルギーを利用しているため、地球環境への負荷が小さく、また化学エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換するため発電効率も高いことから、次世代電池として期待されている。なかでもダイレクトメタノール型燃料電池は、メタノールを直接“発電部”に供給し、空気中の酸素と化学反応させて発電するシンプルな構造のため、小型化に適している。このため将来有望なモバイル機器向けに世界中で活発に研究開発が進められていた。一方でこれまでは出力密度が低いため発電部が大きくなり、電池体積が大きくなるなど、課題があった。

 今回シャープは、発電部におけるスタックの構造に着目し、微細加工による薄型セルを用いた「3次元高集積スタック(積層)構造」を開発した。短冊状の薄型セルに一定の間隔を設けて平行に配置し、さらに短冊状のスペーサー(多孔質)をセルと交互に直交して積層した構造にすることで、単位体積あたりのセルの表面積を増大させ、かつ、均一な隙間領域を確保することで発電エネルギーの基となる空気をスムーズに対流させることが可能になった。これにより、単位体積あたりの出力密度を世界最高の0.3W/cc(同社従来比で約7倍)まで向上。この要素技術をさらに追求し進化させることにより、一層の電池体積の小型化が見込め、現在主流のリチウムイオン電池と体積は同等でありながら、より長時間使用が可能な燃料電池の実現が期待できる。


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