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日産自動車、メキシコの新工場が稼働 生産能力85万台に

 日産自動車は12日、メキシコ・アグアスカリエンテスに20億米ドルを投資し、生産工場の第一段階の開所式を行った。これは、同社の中期経営計画「日産パワー88」における重要なマイルストーンとなる。この新工場はメキシコにおける日産の第3の工場となり、同国での日産の年間生産能力は、現在の68万台から25%増の85万台以上となる。

 新工場開所式においてCEOのカルロス・ゴーン氏は、日産のグローバルベンチマークとなるメキシコ日産の位置付けを強調し、以下のように述べた。

 「メキシコ日産は、製造、生産性、競争力、顧客満足におけるグローバルベンチマークです。メキシコで3番目となる本工場への投資は、メキシコ日産の世界水準の生産能力を更に増強し、アメリカズ地域における、メキシコ生産車への需要増への対応を目指したものです。これにより、メキシコ市場における日産のリーダーシップは更に高められ、グローバルな成長計画が強化されることになります」

 1966年、日産は海外生産をメキシコで開始した。そして今、同国で3番目となる日産の車両工場は、整地および着工からわずか19か月弱で稼働開始した。アグアスカリエンテス第1工場から4マイルしか離れていないこの新工場では、稼働第1日目から、1日23時間、週6日、年間284日というフル稼働状態となる。

 アグアスカリエンテス第1工場では毎時65台の車両を生産している。今回稼働するアグアスカリエンテス第2工場では、稼働当初、1時間に30台の車両を生産。日産は現在、メキシコにおいて車両生産台数トップの地位を維持している。現在、日産は、メキシコで生産されている車両の約4台に1台を生産している。

 ゴーン氏は、日産の戦略的なグローバルの中期計画である「日産パワー88」におけるメキシコ日産の重要な役割について明言した。本計画では、2016年までに8%の市場シェアと8%の営業利益率を達成することを目指している。アグアスカリエンテス第2工場や2014年に稼働開始予定のブラジル・レゼンデの新工場への戦略的な投資、米スマーナ工場での「日産リーフ」と「ローグ」の生産の現地化などが目標達成に貢献する。

 メキシコ日産の生産担当副社長のアルマンド・アビラ氏は、「メキシコでの生産について日産自動車から信任を得たことを大変誇りに思っています。その30年後、私たちはアグアスカリエンテス州での生産を開始しました。そして今日、この州で2つ目となる車両工場の稼働を開始し、3000名の新しい従業員を迎えます。彼らは、何か月ものトレーニングを行い、新工場での業務を開始しました。トレーニングを通じて、彼らはメキシコ日産の一員となり、日産の文化と品質に対する情熱を共有することになります。新工場の開設は、メキシコ日産の歴史における新しい1ページの始まりに過ぎません。私たちはここから、グローバル自動車産業へさらに貢献していきます」と述べた。

 アグアスカリエンテス第2工場の基礎工事は2012年4月から始まり、19か月というかつてない短期間で5000名の力によって建設された。同工場には7000トン以上のスチールが使われ、この量はパリのエッフェルタワーに相当する。

 アグアスカリエンテス第2工場は、1130エーカー(460ヘクタール)の敷地に、延べ194万2491平方メートルの5つの建屋が建てられている。22万平方メートルのメインの建屋には、プレス、車体、塗装、組み立て、および、バンパーの樹脂成型および塗装のラインがある。これらの工程では、日産の先進・環境技術が使われている。これらは、日産のイノベーションに対するビジョンと、空気、土壌、水資源への環境負荷を最小限に抑えるという目標に合致したもの。現在、環境技術への投資だけで2300万米ドル以上となっている。

 プレス工場のXLプレス機は、中南米最大のもの。毎時575回の加圧を行う最先端の高速プレス機で、毎月27万3000個以上の部品を生産することができる。プレス工場では、エネルギー消費量を削減するためのエネルギー回生システムを用いている。

 車体工場では190機のロボットを使用しており、工程の72%が自動化されている。塗装工場は、コンパクトラインプロセスデザインを用いており、水性塗装技術を使った3ウェット塗装キャビンを持っている。これは、塗装技術における日産の新しいグローバル基準であり、揮発性有機化合物(VOC)と温室効果ガスの排出を大幅に低減する。

 環境に配慮したデザインは、アグアスカリエンテス第2工場全体の建設に影響を与えた。天井部品の7%は半透明となっており、1日の大半、自然光を取り込むことができる。ゼロ排出の水処理を行い、社内業務や造園作業に使われる水をリサイクルしている。さらに、敷地の一部は、環境保護区域として整備され、建設期間中に肥沃土が運ばれ、自生植物種が植えられた。この場所は、従業員の余暇活動やコミュニティに利用できるように設計されている。

 日産は今回、アグアスカリエンテスにおいて3000名以上の直接雇用と9000名以上の間接雇用を創出する。新しい従業員は、稼働開始に向け品質水準を確保するため、4か月から10か月間のトレーニングを受ける。日産の生産チームは、生産開始に先立ち、品質、生産性、人間工学における最適な周期を達成するために「ダイナミックトレーニングシミュレーター」という詳細なトレーニング手法を開発した。

 アグアスカリエンテス第2工場の特長のひとつに、様々なプラットフォームの車両を生産できる柔軟性がある。これはユーザーの需要の変化に対応するためのもの。同工場で最初に生産されるのは、20の市場で販売が予定されている2014年モデル「セントラ」となる。

 メキシコ日産社長のホセ・ルイス・バルス氏は「私たちが今日、目にしたのはアグアスカリエンテス第2工場の最初の段階に過ぎません。私たちのゴールは、中期的に100万台のマイルストーンを達成することです。メキシコの自動車産業には、国内市場だけでなく、グローバルな生産ハブとしての大きな可能性が秘められています。アグアスカリエンテス第2工場のフレキシブルな生産ラインは、市場のトレンドに迅速に対応し、お客様のニーズや要望により即した生産を可能にします。私たちは、現在メキシコが4番目の規模の自動車輸出国であり、8番目の規模の自動車生産国であることを誇りに思っています。今後、さらに上を目指していきます」と語った。

 アグアスカリエンテス第2工場およびアグアスカリエンテス第1工場の物流は完全に統合されている。第2工場には、両工場のオペレーションを支える車両輸送のための車両基地があり、両方合わせたサービス能力は毎時95台となっている。

 アグアスカリエンテス第2工場に隣接した場所に、日産とベスタ社は、総合サプライヤーパークの「ドウキセイサンパーク(DSP)」を建設している。DSPが近接していることで、自動車サプライヤーと生産プロセスが本質的につながるようになる。DSPには、初期段階においては5700万米ドルを投資し、140エーカー(57ヘクタール)の敷地に160万平方フィートの5つの建物を建設する。

 将来的にはさらに拡大する可能性がある。サプライヤーパークにはすでに、ポスコ、タチエス、三桜が進出している。また、トランスミッションのサプライヤーであるジヤトコが、2億2000万米ドルを投資し、2013年にアグアスカリエンテスに2つ目の工場を建設する予定。


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