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東芝、テレビ・PC事業の損益改善策を発表 委託先見直しも

 東芝は26日、テレビ事業およびPC事業に関して「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」を柱とした構造改革に取り組むことを発表した。デジタルプロダクツ事業の収益改善、事業体質強化が目的。固定費を2014年度までに300億円削減するほか、新興国市場の売上比率を現行の3割から4割へと引き上げる。また、テレビ事業についてはグローバル生産委託先を従来の約3割に絞り込むとともに、従業員の配置転換を行う。

 構造改革の主旨は、「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」を柱に、新興国市場の開拓、BtoB事業へのシフト、高付加価値商品のグローバル展開などにより売上・利益の拡大を目指すとともに、経営のスリム化とコスト削減を図る。

 これらを実現するために、デジタルプロダクツ事業を所管する社内カンパニー「デジタルプロダクツ&サービス社」の組織改正を併せて実施し、カンパニー経営の迅速化と注力事業への人的資源のシフトを行う。

 今回の施策は、今年度実施を計画している構造改革の一部として、生産や国内外販売体制の見直しなども含め、さらなる構造改革を策定・実施していく。

 今年度策定の構造改革の実施により、昨年度実施の構造改革効果と併せて、テレビ事業、PC事業合計で、2012年度に対し、2013年度で約100億円、2014年度で約200億円の固定費削減を図り、グローバル競争で勝ち抜くための強い事業体質への転換を目指す。

【今回決定した構造改革施策】
【1】利益創出に向けた集中と選択の実施
<テレビ事業>
 (1)販売においては、注力市場の「集中と選択」を行い、人員資源も新興国などの注力地域へ集中する。
   ・新興国市場売上比率:2012年度約3割→2013年度約4割

 (2)商品では、4K対応液晶テレビに代表される大型付加価値商品の積極的なグローバル展開やクラウドサービスの提供、地域特性に合ったローカルフィット商品の継続投入など、これまで行ってきた“東芝ならでは”の取り組みを強化するとともに、デジタルサイネージ市場や、ホテル、病院等向けBtoB事業を強化する。
   ・BtoB事業売上比率:2014年度約1割

 (3)グラスレス3Dテレビ技術の医療への応用など、東芝の強みである広い事業領域を生かし、全社的な部門間連携にも取り組む。

<PC事業>
 (1)成長する新興国市場やBtoB事業の拡大を実現するために、人員資源等のシフトを図り、従来のBtoCを中心としたPC事業からの転換を図っていく。
   ・新興国市場売上比率:2012年度約3割→2013年度約4割
   ・BtoB事業売上比率:2012年度約2割→2015年度約4割

 (2)企業向けにセキュリティやモビリティを強化した機種の投入や、クラウドソリューション「東芝スマートクライアントマネージャー」による省電力化や企業資産管理などの付加価値をグローバルに提案していく。また、ハード・サービスを併せた提案により、文教やヘルスケアなどの新規市場を開拓していく。ソリューション事業における部門間連携も進め、大口顧客の開拓を積極的に進める。

 (3)BtoC事業では、高度な手書き機能搭載の着脱式ウルトラブックなどの戦略商品の投入に加え、デジタルプロダクツ商品を販売するオンラインショッピングサイト「東芝ダイレクト」の活用を進め、販売チャネルの拡大を図る。

【2】軽量経営体質の再構築
<テレビ事業>
 (1)グローバルに製品設計の共通化を進め、2013年度中にプラットフォーム数、機種数の削減を図り、注力機種の拡販に向け、開発・設計リソースの効率的な配分を行う。
   ・プラットフォーム数:2012年度 14→2013年度 9
   ・機種数:2012年度 115→2013年度 67

 (2)グローバル生産委託先を従来の1/3に絞り込むことによるコスト削減に加え、機種別に自社生産・生産委託のすみ分けを進める。

 (3)生産から流通までのオペレーションフロー改善による在庫・物流コスト等の削減に取り組むとともに、各生産・販売拠点の最適化を図る。

<PC事業>
 (1)生産・調達から流通までのオペレーションフロー改善による在庫やコストの一層の削減に取り組む。

 (2)グローバルに製品設計の共通化をさらに進めることで2013年度中にプラットフォーム数を削減し、開発の効率化・スピードアップを図る。
   ・プラットフォーム数:2012年度 20→2013年度 15

【3】注力分野への人材シフト
<共通>
 業務の効率改善や絞り込みにより、国内でテレビ事業、PC事業に関わる従業員総数の約20%に相当する設計開発・営業・スタフなど約400名の従業員について、今年度中に、東芝グループにおける全社的な注力分野である社会インフラ事業などへの配置転換を実施する。

【4】社内カンパニー内組織の再編
 8月1日付で、社内カンパニーである「デジタルプロダクツ&サービス社」内の組織を再編する。2011年度に導入した地域別事業部体制からテレビなどの映像事業を所管する「ビジュアルソリューション事業部」、BtoC向けPCやタブレットなどを所管する「パーソナルソリューション事業部」、BtoB事業を所管する「ビジネスソリューション事業部」の3事業部制に組織を見直す。

 地域別事業部体制により培われたPCと映像事業のシナジー効果を生かしつつ、今回の組織再編により組織のスリム化、意思決定の迅速化による一層のスピード経営の実現を図るとともに、BtoB事業を専門組織化することで、同事業の拡大、戦略的な事業展開を行う。


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