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小田急電鉄、12年度鉄道計画発表 複々線化など291億円投資

 小田急電鉄は、2012年度の鉄道事業設備投資計画を発表した。「輸送力の増強」「安全対策の強化」「サービスの向上」を3本の柱に、総額291億円の設備投資を実施する。

 輸送力増強の件では、東北沢~和泉多摩川間の距離10.4キロの複々線化事業を推進する。同事業については現在、東北沢~世田谷代田間(距離1.6キロ)について工事が進められている。昨年度は営業線直下での掘削作業が完了し、線路の地下化に向けたトンネル本体や各駅ホームの構築等を実施した。今年度では、地下化に必要なトンネル本体の構築工事を完了させたうえで、2013年中の既存線路の地下化を目指し、設備工事を含め推進していく。

 このほか、朝のラッシュピーク時間帯における輸送力をさらに増強するため、複々線完成後は、現在8両編成で運転している近郊区間の各駅停車を10両編成で運転する予定。今年度は参宮橋と五月台、黒川の各駅でホーム延伸工事などに着手する。

 安全対策強化では、大規模地震による被害を最小限に抑えるため、鉄道構造物の耐震補強を推進する。今年度は、代々木八幡~代々木上原駅間、狛江~和泉多摩川駅間、本厚木~愛甲石田駅間および多摩線の高架区間と、相模川橋梁において耐震補強工事を進める。

 また、列車運行の安全性を一層高めるため、現在使用しているATSに替え、連続的で細かい速度制御により、急曲線、下り勾配等の制限速度の設定が可能となる、より安全性の高い新たな列車制御システム(D-ATS-P)の全線設置を目指す。今年度は、昨年度使用開始した多摩線に引き続き、江ノ島線での地上設備工事を進める。

 更に、老朽化した列車無線の更新工事に着手する。更新が完了すると、現在のアナログ方式からデジタル方式に変更されるため、情報伝達の迅速化が図られるほか、乗務員やお客さまに対してより正確な情報提供を行うことが可能となる。今年度は、車両側の設備更新を進める。

 駅ホーム上における乗客の安全性の向上を図るため、新宿駅の4、5番ホームに可動式ホーム柵の設置工事を進めており、今年度中の使用開始を予定している。また、内方線付き点状ブロックの全駅への整備に向けて、未整備駅に設置を進める。

 そのほか、自然災害による被害を最小限に抑えるため、相武台前~座間駅間で法面防護工事を実施するほか、第一菖蒲トンネル(渋沢~新松田駅間)の改修工事を引き続き進める。また、新宿駅の地上ホームと本厚木駅でホーム改修工事を進める。

 サービス向上の件では、最新型通勤車両の4000形を10両(10両×1編成)製造するとともに、8000形通勤車両を12両(4両×3編成)リニューアルし、車いすスペース、車内LED表示器、自動放送装置を設置する。また制御装置を変更することで、運行に使用する消費電力を削減するほか、補助電源装置、コンプレッサーなどの床下機器の低騒音化を図るなど環境面にも配慮する。

 また、今年度、製造する4000形およびリニューアルする8000形通勤車両にLED照明を搭載し、節電に向けた取組みを進める。

 さらに、駅施設の改良も実施する。駅における乗客へのサービスの向上を図るため、ホーム上家の増設(延伸)を行う。今年度は、愛甲石田駅で引き続き工事を進めるほか、伊勢原と藤沢の各駅で工事に着手する。

 現在、主要駅を中心に設置している行先案内表示装置を、全駅に設置する工事を引き続き進める。今年度は小田急線の生田~厚木駅間の9駅と、江ノ島線の東林間~鵠沼海岸駅間の10駅の合計19駅に設置を予定している。

 老朽化したお客さまトイレを改修して、サービスの向上を図る。今年度は、相模大野駅で工事を実施する。

 運行異常時における情報提供の改善では、事故情報や振替輸送経路などを視覚的に表示する運行情報ディスプレイを、主要駅をはじめとした15駅に設置。全70駅の構内に事故情報や運転状況等を一括して放送することができる遠隔放送装置を導入する工事に着手。今年度はシステム構築工事等を行う。


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