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2012年は「中小企業再生の真価が問われる1年」 帝国データバンク

 倒産件数が2年連続でマイナスとなった。では今後はどうなるのか。帝国データバンクは13日、倒産件数の今後の見通しを発表した。それによると2012年の企業倒産は緩やかに増加するとみている。以下、抜粋する。

 多くの中小企業は、震災、円高、デフレなど、外部環境の悪化で業績回復が遅れているにもかかわらず、2011年の倒産は2年連続の減少となった。震災後の各種救済措置とともに、倒産抑制に効果を発揮したのが「中小企業金融円滑化法」である。金融庁は12月27日、同法の期限を2013年3月末まで1年延長する方針を発表した。これにより、現在のほぼ横ばい状態の倒産推移がしばらく続く可能性もある。

 しかし、リスケ継続は抜本的な企業再生につながらず、あくまで倒産時期の先送りに過ぎない。円滑化法を利用して返済猶予を受けながら倒産した企業は、2011年1年間で194件判明。9月以降4ヵ月連続で、月間最多を更新している。その大半が、猶予期間中に業績回復できず企業自身が力尽きたケースであり、推定30万社前後とみられる同法利用企業の息切れが年後半から顕在化し始めている。

 金融庁が11月に公表した「資本性借入金」の積極的活用による支援策も、円滑化法ほどの倒産抑制効果を生むかは不透明。今後は金融機関が企業選別の動きを徐々に強めていくと予想されることから、潜在的な倒産増加リスクは依然高いままである。

 このため企業倒産は、復興需要の本格化が期待される東北を除き、現在の横ばい推移から、年後半にかけて緩やかに増加するとみられる。被災地以外の零細企業の倒産増が懸念される建設業、円高の影響本格化が予想される製造業、消費増税等の将来不安から販売不振による倒産増が続く小売・サービス業など、懸念材料が山積している。

 被災地企業の二重ローン問題解消のための公的な再生支援機関も、今後どこまで機能するか未知数の部分があり、倒産や廃業などの形で業績不振のまま事業継続を断念する企業が相次ぐおそれもある。2012年はまさしく、中小企業再生の真価が問われる1年となる―とみている。


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