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財政、通貨の不均衡で打撃、欧州の対米農業競争力

【パリ9日PRN=共同JBN】米国と欧州連合(EU)の比較分析は、米国の農民にとって「エアバス380型50機」相当の利益を受けていることを示している-。世界の農業に新しいビジョンを提唱しているシンクタンクのモマグリ(momagri、著作権)によると、財政、通貨の不均衡が農業活動に及ぼす影響について国際社会は十分に考慮していない。

しかし、食糧、金融、財政の危機という環境で、またこれまでに知られていない割合で、通貨の交換レートと中央銀行が設定する主要金利が農業競争力にとって非常に重要な変数になっている。欧州と米国の比較がこの点を次のように示している。

*ユーロに対するドルの過小評価は過去2年にわたって米国農業に対する間接的だが効果的な金融支援になっている。この支援は2008年には178億ドル、2009年は144億ドルと評価されている。

*欧州中央銀行(ECB)の金利より米連邦制度理事会の金利が有利なことが米国の農民に対する2008年には29億ドル、2009年には1億600万ドルの支援となっている。

これを合計すると2008年は207億ドル、2009年は145億ドルとなり、米国農業生産額のそれぞれ6・5%、5・0%を占める。

モマグリのクリスチャン・ペース副会長は「こうした不均衡を経験している者全員が、高値で変動する時期にはさらに悪化する重荷を常に負わされているのだ」と述べている。

モマグリのピエール・サジェッス会長は「現在は投機のためさらに不安定になっている農業市場は新たな金融、食糧危機の前触れであり、G-20を契機にして為替レート、財政を変数とみなすことが必要である。言うまでもないが、国際的な農業貿易の規制のない自由化という脅威がいまもWTO(世界貿易機関)に存在している」と語っている。

各国政府が自国の農業活動に提供している支援の真の本質に関するこの分析は、農業とその問題点についての格付け会社を設立するというプロジェクトの枠内で、モマグリが行った。

米国とフランスを比較した最初のリポートは2011年1月半ばに出版される。

このリポートで世界の2大生産地域で実行されている直接(農業政策予算)、間接(金融、財政政策、食糧補助金など)の農業支援策を確認できるだろう。

両国の国家予算の比較を容易にする新しい予算用語学がその目的のために考案されている。

モマグリの比較研究は引き続き2011年も行われ、ブラジル、カナダ、中国、インドを取り上げ、最終的には主要生産国すべてに及ぶことになる。その時になれば、議論の余地のない公共政策に基づくものなので、経済、貿易交渉の有用なデータから利益を得ることができるようになる。

モマグリのアプローチは経済の現実に即した共通の標準を使う必要性を支持するものであり、これはまさに2011年1月26-30日に開催される次回ダボス会議のテーマである。


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