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米サンフランシスコのトランジットセンター着工

 【サンフランシスコ12日PRN=共同JBN】ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツが設計した最先端の多様な交通機関ハブであるサンフランシスコのトランスベイ・トランジットセンター(Transbay Transit Center)の起工式が12日行われ、建設が開始された。

 ガラスと鋼鉄を素材としたランドマーク的なこの構造物は2017年に開通する予定で、11の公共輸送システムでサンフランシスコ市とベイエリア地域を結ぶ。特にトランスベイ・トランジットセンターは、米国初の新しい高速鉄道となるカリフォルニア高速鉄道のサンフランシスコ駅となる。「西部のグランドセントラル駅」として考えられたこのビルは、世界の有名な鉄道駅舎の精神を受け継いで設計されている。極めて高い持続性を持ち便利にできているこのビルは、光のあふれるスペースと5・4エーカーの屋上公園によって他のビルから際立っている。

 国際的コンペで自分のデザインが採用されたペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツのシーザー・ペリ上席プリンシパルは「トランスベイ・トランジットセンターのデザインには大変誇りを持っている。このセンターは美しく、機能的で持続性のあるサンフランシスコのビルになるだろう」と語っている。

このプロジェクトは、ファーストとミッション・ストリートにあったトランスベイ・ターミナルの敷地に建設され、周辺のブロックや近隣地区の開発を促進する。

 ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツのフレッド・クラーク上席プリンシパルは「トランスベイ・プロジェクトの持つ公共的役割にとてもわくわくしている。この建物を市当局が考えているような偉大な交通センターにしたいし、また同時に近隣にとって偉大なる隣人となるようにしたい」と述べている。

 トランスベイ・トランジットセンターは、優美で明るく、快適で安全なように設計されている。花びらのように波打った形状の外部ガラス壁面は、街路に文化的な存在感を創り出す。この起伏はまたビルの堅牢なコンクリートと鋼鉄の構造システムに呼応しており、大地震の際に対応できるように造られている。

 ミッション・ストリート側の公共広場は、トランジットセンターへの正面入り口を形成する。メーンの公共スペースであるグランドホールは、自然光で満たされる。中心となるのは、高さ120フィートの「ライト・コラム(light column)」で、屋上公園から下部コンコースに届く構造物である。このライト・コラムはその上に4000平方フィートのドームがあり、ビルを支えるだけでなく、日光を内部深くにまで導き、屋上公園の概観を縁取る。

 さまざまな活動と息抜きを提供する場所として、屋上公園は近隣で生活したり仕事をするひとびとの日常経験の一部になる。遊歩道、遊び場、カフェ、1000人規模のパフォーマンス場所、12の庭園のそれぞれが異なった自然環境を映し出し、完ぺきな都市型の公園を形作る。さらに1000フィートの長さの噴水は、階下のバスの動きに応じて水を吹き出す。やがて隣接するビルと公園とを結ぶ橋も建設され、サンフランシスコの都市構造に完全に溶け込む。

 トランスベイ・トランジットセンターは、米国で最も環境を配慮したビルの一つとして、複数の持続可能な設計戦略を採用する。最も目立つのは公園で、公園の樹木、造園、水管理システムを通して汚染物質を吸収、ろ過する。トランジットセンターの地下には巨大な地熱交換システムがビルの基礎部分に建設される。このシステムは、市のブロックで4・5ブロック相当の長さにわたり、世界でも最大級の地熱装置となる。センターはさらにエネルギー消費を削減するため、自然換気を行い、ほとんどのスペースでは自然光を採用している。またセンターは雨水を処理し、汚水を再利用する。水の再利用と保存システムによって、年間でオリンピック用水泳プール19面に相当する920万ガロンの水を節約できる。このビルはLEED(建物の環境対応評価格付け)でゴールドの獲得を目標としている。

 センターは交通機関の利用者と一般市民の双方が利用できるように計画されており、地上レベルには店舗、カフェ、公共の遊歩道が設けられる。さらにこの建物はジェイムス・カーペンター、ジュリー・チャン、ジェニー・ホルツァー、ネド・カーンなど著名な現代アーティストの作品を取り入れている。

 ▽ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ(Pelli Clarke Pelli Architects)について
 ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツはシーザー・ペリ、フレッド・クラーク、ラファエル・ペリの3氏が1977年に設立し、世界で最も著名ないくつかの建造物を設計してきた。同事務所のポートフォーリオには交通施設、オフィスビル、学術関係のビル、リサーチセンター、図書館、舞台芸術センター、博物館、住宅、マスタープランが含まれる。ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツの仕事は、設計事務所の個人署名入りのスタイルに拘束されるべきでないという信念を反映し、素晴らしい設計はクライアントとの協調と各プロジェクトの環境、経済、社会状況への尊重から生まれるという信念を反映している。同事務所はこれまで、米建築家協会のファーム賞、建築家に対するアガ・カーン賞など批評家から多くの設計賞を受賞している。詳細はwww.pcparch.comを参照。


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