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JFEスチール、スカイツリー向け円形鋼管8300トン納入完了

 JFEスチールは、東京都墨田区に建設中の東京スカイツリー向けに、新開発の高強度円形鋼管「P-400T」「P-500T」「P-630T」の総量8300トンの納入が完了した。

 東京スカイツリーは、超高層の構造を支えるために、地下部から頂上部まで高強度の円形鋼管が使用されている。同社では、塔体最下部からアンテナを取付ける頂上部の「ゲイン塔」まで一貫して鋼管を納入。このほど、「ゲイン塔」(地上495~634m)で使用される鋼管を納入し、同社受注分の鋼管納入が完了した。

 東京スカイツリーで使用される高強度鋼管は、外径500~2300ミリ、管厚19~100ミリと幅広いサイズがあり、塔体最下部には最大サイズの外径2300ミリ、管厚100ミリの鋼管、ゲイン塔部には国内の建築構造物では初めて降伏強度630N/mm2級の超高強度鋼管が使用されている。主柱の鋼管における設計基準強度は、一般建築物で使用されるJIS規格鋼管の設計基準強度325N/mm2に対し、1.23~1.94倍であり、同社はこれに対応するP-400T、P-500T、P-630Tを開発し、国土交通大臣の認定を取得した。

 P-400T、P-500T、P-630Tは高強度以外にも、強度との両立が難しいとされる高い靱性(母材、溶接部)も確保。また、低い予熱温度での溶接を可能にする等、溶接施工性を向上させることで、高所での溶接作業環境にも配慮している。更に、鋼管外径に対する高精度要求に対して、最大サイズでJIS規格鋼管の約1/3以下(外径寸法許容差)という高精度化を達成している。

 鋼管は塔体の部位毎に断面サイズ(外径×板厚)が異なるため、それぞれ造管加工による材質変化を予測した鋼板の造り込みを行う必要がある。同社では高精度水冷装置「Super-OLAC」に代表される熱加工制御や高性能炉による熱処理プロセスと、溶接条件に合わせた最適成分設計による鋼管原板製造技術、及び高精度な造管技術を確立しており、原板製造から造管までの一貫した製造と品質管理体制により、高品質な鋼管を安定供給することができた。

 同社では、新開発の高強度円形鋼管の他にも、東京スカイツリー向けに厚板・形鋼・鋼管・コラムなど約1万2700トンを受注しており、鋼材メーカーの中では最大供給量となっている。


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