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トヨタの退職条件を批判、UAW2244支部長が声明発表

 【フリーモント(米カリフォルニア州)18日PRN=共同JBN】全米自動車労働組合(UAW)ローカル2244のセルジオ・サントス支部長は18日、トヨタ自動車のカリフォルニア州にあるニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング社(New United Motor Manufacturing, Inc.=NUMMI)自動車工場閉鎖、およびNUMMI労働者に対する退職金交渉に関する声明を発表し、以下のように述べた。

 ▽トヨタのNUMMI自動車組立工場の閉鎖に関するこの声明は、やむなくわたしの最後の声明となる。

 UAWローカル2244の組合員は2010年3月17日(水曜日)、トヨタ側が提示した退職金パッケージの受諾をおそらく表決するだろう。この提示は、口外禁止を義務付けている。これは、わたしとしては米憲法修正第1項および国連の国際労働機関(ILO)の労働者権利協定が規定する結社の自由の権利を侵害すると信じる。それにもかかわらず、トヨタが設定した条件では、合意成立後にわたしは工場閉鎖および閉鎖が与えるわれわれ組合員への影響について批評することはもはや不可能となる。

 トヨタが退職金を数百万ドル増やしたことについてはわれわれは喜ばしいことと思うが、トヨタは自らの計画に沿って、われわれの多くが生涯の大部分の年月をトヨタに誠実に捧げ、身を粉にして働いてきた工場を閉鎖することは決して喜ばしいことではない。われわれの熟練作業によって、NUMMIは品質に関して JDパワーズ・アワード(米顧客満足度調査トップ賞)をたびたび受賞し、トヨタをカリフォルニア州および米国のナンバーワン自動車企業にしてきた。われわれこそが、トヨタが生産方式をわれわれの米国文化に適応することを支援した。

 ビル・ロッキヤー・カリフォルニア州財務長官を委員長とする特別委員会の報告書が指摘したように、トヨタにとってフリーモント工場閉鎖以外の選択肢があった。トヨタは、GMが破産申請しポンティアック・バイブの生産を停止した際に、失われた労働を埋め合わせることが容易にできたはずである。その生産量は、過去10年間のわれわれの生産高の15パーセント相当にすぎない。

 トヨタはカリフォルニア州で販売し、現在は海外で生産しているカローラを、より多くの割合で生産することを選択することが可能であった。トヨタは彼らがいったんは約束した計画を遂行すれば、トヨタはわれわれの工場でプリウス2を生産する。そして、彼らは将来のカローラのハイブリッド、プラグイン車両を同工場で生産できたはずである。にもかかわらず、トヨタはその歴史で初めてトヨタのために高品質な車両を常に生産してきた労働者を見捨てた。

 トヨタに対する最近の悪評や、われわれが新聞の編集局、コミュニティー、個人から受けた強力な支持があって、トヨタは退職金の提示を増額し、組合員に対して、われわれが向こう数カ月間生き延びる助けとなる若干改善された緩和策を提案する。その後は、われわれは自活していく。

 トヨタのNUMMI施設をサポートしている自動車部品メーカーやその他のビジネスで働く多くの人がはるかに劣悪な状況となる。トヨタはこれらの人々に対するいかなる退職金も考慮することを拒絶しているが、彼らの一部はわれわれとともに、われわれの施設内で下請契約者として長年にわたり働いてきた。

 トヨタおよびその法的代理企業NUMMIは、自らの気前の良さと慈善活動、労働者およびトヨタが操業するコミュニティーへの献身を自慢する声明を発表する。

 しかし、トヨタをナンバーワンに押し上げた数多くの人々が資金と失業保険が尽き、家や医療補助、つまるところわれわれの健康を失うという状況の中で、カリフォルニア州での車両生産放棄というトヨタの決定がもたらす真の犠牲者は、誰にとっても明白である。

 われわれの近隣の家屋は価値を失い、われわれの公共サービスはこれまで以上に困窮し、カリフォルニア州の納税者、ビジネスマンはその代価を支払うことを余儀なくされる。

 ここで生産されるべき数十万台の車両が海外で生産され、その後ここで販売されるために送り返されることで、トヨタの二酸化炭素排出量と数十億ドル単位で貿易不均衡を増大させるという状況になって、真のコストが明らかになるだろう。

 トヨタはわれわれを裏切り、いまやわれわれの口をふさいでいる。われわれは今後は沈黙するが、われわれはより良い待遇に値すると考える。われわれは、自らの家族のために多少の限られた資金を確保する手段として、やむを得ずトヨタ側の解決条件を受諾する。

われわれが感謝を評したい人々がいる。まずは、カリフォルニア州のビル・ロッキヤー財務長官と彼の特別委員会委員である。彼らはフリーモントのNUMMI 施設閉鎖に関するトヨタの決定が与える本当の経済、社会、環境への影響を勇気と公正をもって調査、報告した。

われわれは全米自動車労働組合およびUAWリージョン5の誇り高き組合員であり、UAW役員および同僚組合員がこの厳しい試練を通じて差し伸べてくれている支援に対して感謝する。彼らの支援、助言、交渉ノウハウがなければ、われわれはさらに困難な状況に押しやられていた。

われわれは米労働総同盟産業別組合会議(AFL・CIO)、チェンジ・ツー・ウィン(Change to Win)、カリフォルニア労働連盟、カリフォルニア州地方労働評議会がわれわれに示した団結に対して言葉では言い表せないほど感謝している。

 締めくくりに、はっきりさせておく。トヨタはトヨタNUMMI自動車組立工場を閉鎖するが、閉鎖するのはNUMMIでもなければ、GMでもない。トヨタはわれわれの工場を閉鎖しつつあるが、トヨタはこの工場の操業継続をまだ選択することが可能である。


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