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加州工場閉鎖でトヨタに警告、米代表団が豊田市の本社訪問

 【豊田(愛知県)9日PRN=共同JBN】トヨタ自動車は高品質のニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング社(New United Motor Manufacturing, Inc.=NUMMI)を放棄することによって、最重要の米国市場で最大の資産「メイド・イン・カリフォルニア」のラベルを捨てようとしている。

 カリフォルニア州各界代表団は9日朝、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で同社幹部と会談、NUMMIのフリーモント自動車組立工場の閉鎖計画を推し進めれば、自ら負った傷から回復するために最も必要とする消費者を敵に回すことになると警告した。代表団は会社側に、ビル・ロッキヤー州財務長官招集のブルーリボン委員会がまとめた工場閉鎖による経済、社会、環境の影響調査結果と勧告を盛り込んだ報告書を手渡した。

 内容はhttp://www.calaborfed.org/userfiles/doc/2010/blog/Toyota_NUMMI_Commission_Report_Japanese.pdfを参照。

 全米自動車労働組合(UAW)のボブ・キング副委員長は「トヨタは道に迷った会社だ。自社を成功に導いた諸原則に合致しない一連の間違った決断を下した。 NUMMI工場閉鎖も撤回すべき間違った決断だ」と語った。副委員長はトヨタ幹部に対し、次の段階としてワシントンで州出身の議会指導部と会談すると伝えた。多くの議員がNUMMI従業員が居住するか大手部品企業がある地域の代表だ。副委員長は「代表団の背景にいるカリフォルニア州とワシントンの数百万人の間で憤激が増大している。この会談が話の終わりではなく、始まりにすぎないということをトヨタは理解してほしい」と付け加えた。

 シエラクラブのカール・ポープ最高執行役員は「トヨタ車がカリフォルニアで生産されていることは、カリフォルニア住民のトヨタとの関係、ブランド信仰にとって極めて重要な要因だ」と語った。さらに「だが、カリフォルニア放棄計画は長年築いてきた関係とブランド信仰を危険にさらすものだ。州内の環境意識が高い自動車購入者を前にして、トヨタにはかつてないほど多くの競合社があり、もし『メイド・イン・カリフォルニア』の優位を投げ捨てるなら、購入者たちはほかで車を買い求めるだろう」と述べた。

 カリフォルニア消費者連合エグゼクティブ・ディレクターのリチャード・ホルバー氏も、カリフォルニア州の消費者の中でトヨタが直面するリスクに言及、 NUMMI工場閉鎖は高品質規格に立ち戻るという最近の約束に背くものだと強調した。「トヨタ・カリフォルニア工場は技術と高品質製品の優秀性で繰り返し受賞しており、事実、リコールで休業しなかった唯一の工場だ」と述べ「操業継続は自社製品に対する信頼回復を図る会社にとって重大だ」と語った。

 ホルバー氏はまた、フリーモント工場の放棄がすでに厳しい経済環境を悪化させるため、トヨタのイメージは一層損なわれると指摘した。「トヨタ従業員多数が住むアラメダ郡では現在、住宅1万7000戸、隣接のサンホアキン郡は1万6000戸から1万7000戸、サンタクララ郡は1万3000戸が差し押さえられている。トヨタがNUMMIを閉鎖すれば、さらに数千戸が差し押さえになる見通しだ」と述べた。

 20年間NUMMIに在籍する従業員のロン・ロペズ氏も懸念を共有している。15年前、構内の塗装部門で出合ったバーバラ夫人も工場で働いているためなおさらだという。現在ともに50代の夫妻は、ほかの仕事を見つけるのは難しいと心配している。自宅を銀行に取られないよう先週、やむなく売りに出したという。「われわれは20年、良質で忠実なサービスを尽くしてきた。今後20年も続けたい」と述べ「われわれは仕事が好きだし、会社のために取った賞を誇りにしている。社内の展示ケースに収められている。工場閉鎖にあたるようなことはしていない」と話した。

 トヨタが計画撤回を拒否すれば、矢面に立つ従業員数は現在、乗用車、トラックを組み立てている4700人にとどまらない。州全体でトヨタNUMMI工場と取引のある会社の推計2万5000人が職を失う恐れがある。チームスター・ユニオン自動車部門のディレクターでケンタッキー州合同評議会94の会長でもあるフレッド・ズッカーマン氏は、自分の組合員も解雇に直面していると語る。「チームスター約2000人の仕事がこの工場の操業継続、トヨタ車生産に直接依存している」と述べ「ほかの組合員も危ない。例えば、鉄鋼労働者はNUMMIで生産されるすべての車に取り付ける鉄鋼とガラスを供給している。われわれはこのような仕事とそれに依存する家族を守るために闘っている」と述べた。

 傷つくのは工場自体とフリーモントにあるトヨタ関連会社の従業員だけではない。フリーモント商業会議所の政府地域問題担当、ニーナ・ムーア氏が説明する。「地域全体の経済が損失を被る。工場で働く人々や取引する人々がもたらした経済に依存するホテル、レストラン、小売店、各種サービス業。トヨタの行動で彼ら全員が損害を被る。会社の直接支援、奨励されて参加してきた従業員を通じた重要な地域パートナーのNUMMIを失えば、非営利社会も同様に被害を受ける」。

 ムーア氏は「この工場閉鎖はトヨタにとって無駄」と付け加え、さらに「フリーモントにとどまって勝ち得るだろう忠誠を投げ捨てるばかりか、NUMMIがクリーンでハイテクな次世代自動車の創出で業界を先導するチャンスも失うことになる」と続けた。

 米国長老派教会第218回ゼネラル・アセンブリー・モデレーターのブルース・レイエス=チャウ師は宗教界の懸念を表明した。「歴史的にトヨタは従業員と社会への献身で経済界のリーダーになってきた。だが、この工場閉鎖は、これまでトヨタを企業の振る舞い方のモデルにしてきた歴史、哲学、価値観に背くものだ」と語った。

 最後の警告は環境保護派のカール・ポープ氏が表明「トヨタはゼネラル・モーターズ(GM)と同じ過ちを犯す危機にひんしている。大きくなりすぎて消費者を忘れてしまった」。


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