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国内自動車販売・生産は拡大へ、CSMワールドワイドが予測

 自動車市場調査会社のCSMワールドワイド社は28日、日本における2010年の自動車販売・生産についての予測を発表した。それによると、2010年の日本自動車販売台数は前年比4%程度拡大すると予想される。その背景には、政府による自動車販売支援策の存在があるという。以下、発表内容。

 「日本における消費者心理は依然として低迷しているが、政府のエコカー減税政策と自動車購入補助金制度が需要を喚起し、新車市場は2009年後半に回復段階に入った」とCSM日本・韓国車両販売予測のアナリスト川野義昭は指摘し「政府は自動車購入補助金制度を9月まで延長することを決定したことから、堅調な経済の基礎的条件と合わせ、2010年の国内販売は若干拡大するだろう」と見ている。

車両販売(100万台)/2009年/2010年
日本         /4.5   /4.7
前年比        /-7.4% /+4.0%

 サブコンパクトやコンパクトカー、特に、トヨタ「プリウス」、レクサス「HS」、ホンダ「インサイト」等の燃費の良いハイブリッド車両や、ホンダ「フィット」、ホンダ「フリード」、トヨタ「ヴィッツ」に代表される低燃費・低排出ガス車両の需要回復が2009年後半の販売成長をもたらした。

 厳しい市場環境におけるこうしたモデルの成功は、販売奨励金の有効性、消費者の保守的な状況、環境問題への関心の高まりを反映していると言える。対照的に、軽自動車は助成金の適用額が低いため、市場での勢いを失った。こうした傾向は補助金制度が終了するまで続くものとみられる。

 2009年に最も深刻な影響を受けたのは輸入車セグメントだった。輸入車は国内販売の約4%を占めているが、大半が補助金の対象外だった。輸入車ディーラーは販売キャンペーンでこうした状況打破に取り組み、現在は米国生産車両の一部も自動車購入補助金制度の対象になっているが、輸入車販売は低迷が続くと予測される。

 ▽車両生産台数も回復の兆し
 2009年には、国内需要と輸出需要が同時に崩壊したことから、日本における車両生産台数は前年比30%減の750万台まで落ち込んだ。しかし、CSMの予測によると、国内生産は2010年に回復し始め、前年比15%増の860万台に達する見込み。

 内需は引き続き自動車購入補助金制度とエコカー減税政策に支えられるとみられ、特に北米向けの輸出需要は2010年後半から回復し始める見込み。

 「国内需要が500万台以上に拡大する見込みが低いことから、日本の車両生産は依然として輸出に大きく依存するだろう」と日本・韓国車両生産予測のシニアマネージャー西本真敏は分析している。

車両生産(100万台)/2009年   /2010年
日本         /7.5     /8.6
前年比        /-29.9%  /+14.7%

 国内生産の回復は北米における日系自動車メーカーの大幅な余剰生産能力によりマイナス影響を受ける恐れがある。

 「北米における日系自動車メーカーの稼働率は2009年に50%落ち込んだ。日系自動車メーカーは、まず、北米需要に対応すべく北米の余剰生産能力を優先的に活用するだろう」と同シニアマネージャーは見ている。

 今後数年間にわたり、日系自動車メーカーは国内生産を支える方法の1つとしてハイブリッド自動車と電気自動車に注力するものとCSMでは考えている。

 現在のハイブリッド車両生産ではトヨタとホンダが他を圧倒しているが、2012年には日本国内のハイブリッド生産台数が150万台に達し、世界のハイブリッド生産の約70%を占めるようになるとみられる。

 トヨタは米国で「プリウス」、欧州で「オーリス」の現地生産を行い、日本では2012年にトヨタのハイブリッド生産台数が100万台規模に到達するだろう。今後数年間に、トヨタは様々なセグメントで異なるボディスタイル及び価格帯の車両にハイブリッドモデルを導入する計画である。

 他方、ホンダも「インサイト」に続きB~Cセグメントの小型ハイブリッドモデルを投入していく計画である。更に、中・大型車両用の新ハイブリッドシステムを開発中であり、2012年以降、日本で生産されると予想する。

 西本アナリストは「ホンダにとってこれらのハイブリッド車両生産で成功することは、単に世界市場で「プリウス」に対抗するだけではなく、国内生産規模を確保するためにも非常に重要である」と考えている。

 日産、三菱、富士重工は電気自動車市場を先導している。特に、日産では世界市場に供給するべく2010年に電気自動車生産を加速するとみられる。日産「リーフ」の生産台数は、2012年まで年間2万台~3万台となるとCSMでは予測している。

 「現在、電気自動車市場は高コスト電池、走行距離、インフラ整備といった厳しい障壁に直面しているが、短期的には小規模ながら電気自動車市場の成長がある程度見込めるだろう」と西本アナリストは予測している。

 トヨタは富士重工の電気自動車技術を活用するとみられる。一方、三菱は限られた資本を電気自動車技術に投入しており、電気自動車の「i-MiEV」はPSAやその他の世界中の自動車メーカーに供給されるだろう。


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