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スペイン頭頸部がん協 頭頸部がん治療に有効、CRTとIC併用

 【マドリード30日PRN=共同JBN】スペイン頭頸部がん協同グループ(TTCC)は30日、継続治療として定義される標準的治療パラダイムの化学放射線療法(CRT)に先だって施される導入化学療法(IC)が、先行するCRT単独治療と比較して切除不可能な局所進行頭頸部がん(LAHNC)に罹った患者の治療成功期間(TTF)を顕著に長引かせたと発表した。TTFの評価項目は、無増悪期間(TTP)、手術もしくはその他がん関連治療法、有害作用による治療中断、何らかの原因による死亡への期間を組み合わせたものとして定義された。

 第3相無作為研究の最終結果(抜粋#6009)は、米臨床腫瘍学会(ASCO)の2009年年次総会で、スペイン・マドリードにある「10月12日大学病院」のリカルド・ヒット教授から口頭で発表された。この研究結果はまた、「最優秀ASCO(登録商標)プログラム」に選抜された。「最優秀ASCO」は今日の腫瘍学に関連し重要な最先端科学への世界的アクセスを高める目的を持ち、ASCO年次総会から注目を集めた教育活動である。

 この研究はがんの状態として局所進行頭頸部がん(LAHNC)に罹った患者439人を登録し、無作為で標準的なCRT(抗がん剤シスプラチンと断続的放射線照射)と、タキソテール(ドキタクセル)静脈注射を併用もしくは併用なしでシスプラチンと5-フルオロウラシル(5-FU)を混合した静注(IC)のいずれかを受けた。同研究はCRT(継続治療)に先立ってICを受けたか、CRT単独を受けたかの双方の患者の薬効結果を比較することが目的だった。

 CRTにICを加える継続治療は、治療成功期間(TTF)が7・5カ月伸びて5・0カ月から12・5カ月(p<0・0001)に改善した。さらに局所コントロール率という2次評価結果では、CRT単独(p=0・002)で治療された患者の44・5%だったことと比較して、継続治療法(IC+CRT)による患者は61・5%認められた。
 最も良くある重度(グレード3-4)の有害反応は口内炎(CRTの31%対してIC+CRTが44%)、発熱性好中球減少(CRTの1%に対してIC+CRTが10%)だった。その他有害事象は好中球減少と無力症などが含まれていた。

 この研究の調査主任で10月12日大学病院の内科腫瘍学科のリカルド・ヒット教授(MD、PhD)は「これらの研究結果は、この難しい病気が病理学的メカニズムと臨床コントロールが本質的に失敗する可能性を克服しうる合理的かつ包括的管理戦略策定に値することを示している」と語った。

 世界の64万人余りが毎年頭頸部のがんと診断されて、推計35万人余りがこの病気で死亡している。頭頸部がんは腫瘍の一群であり、主として粘膜面の沿った細胞に発現し、頭部や口腔、舌、扁桃腺、咽頭、咽喉など頸部に頸部の扁平上皮(細胞)がんとなる。

 米ジョージア州アトランタにあるエモリー大学のファドロ・クーリ医学部教授とロベルト・ゴイスエタ血液学・内科腫瘍学部長は「この臨床試験で分かったことは、化学放射線療法(CRT)に導入化学療法(IC)を付加することで、治療奏功維持生存率(FFS)とともに進行性で切除不可能な頭頸部がん患者の局所コントロールを顕著に高めることである」と述べた。著名な頭頸部がんの専門家であるクーリー博士は「今回のデータは進行性の切除不能な疾患にかかっている患者治療の標準的アプローチを定義検証する手助けとなるかもしれない」と付け加えた。

 ▽スペイン頭頸部がん協同グループ(TTCC)について
 スペイン頭頸部がん協同グループ(TTCC)は、頭頸部がんの(研究・治療)に全面的に奉仕するスペインの非営利科学協同グループである。同グループはスペイン内科腫瘍学会(SEOM)に所属する内科腫瘍学者とともに頭頸部がんの研究と治療に関係するその他医療関係者で構成されている。TTCCの主要な目的は、基礎研究、疫学研究、臨床研究を促進し、医師と患者への教育とスペインの一般人口に頭頸部がんの情報伝搬を行っている。


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