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エアキャップ決算、第3四半期は減収増益

 【アムステルダム7日PRN=共同JBN】オランダの航空会社エアキャップ・ホールディングス(AerCap Holdings N.V.:NYSE:AER)は7日、今年9月30日に終了した第3四半期の決算を発表した。

 ▽第3四半期ハイライト
 ― 純利益は前年同期の4860万ドルに対し5130万ドルだった。上限金利の値洗いと株式報酬の影響を除外した今年第3四半期の純利益は前年同期の5810万ドルに 対し6110万ドルだった。

 ―基本・希釈後1株当たり利益はいずれも0・60ドルだった。上限金利の値洗いと株  式報酬の影響を除外した基本・希釈後1株当たり利益はいずれも0・72ドルだった。

 ―上限金利の値洗いと非経常経費の影響を除外した基本リース料と金利費用の差額となるネットスプレッドは前年同期の7450万ドルから25%増加して9330万ドルだった。これはリース収入の増加を反映している。

 ―売上高は前年同期の1億8710万ドルに対し1億2240万ドルだった。これは航空機6機、エンジン2基、在庫部品の売り上げによる。航空機6機のほかエアキャップが27%出資している合弁企業が保有するA340型機1機も売却され320万ドルの収入をもたらした。

 ―総収入は3億190万ドルで前年同期の3億3590万ドルを下回った。この減少は主として航空機売上高の減少によるものだった。

 ―総資産は今年9月末現在53億ドルで前年同月末の43億ドルから24%増加した。

 ―2008年中に引き渡しが行われたあるいは引き渡し予定航空資産の確定購入額は14億ドルで、このうち11億ドルは今年1-9月に実行された。

 エアキャップのクラウス・ハイネマン最高経営責任者(CEO)は「2008年第3四半期の財務目標を達成するわれわれの力は、困難さが増している市場環境で当社のグローバルな航空機資産管理フランチャイズの効率的な業務の結果である。最近数週間で前例のない世界金融危機が見られたが、その結果は当社の今後数カ月の業績に影響を与える可能性がある現在のLIBOR(ロンドン銀行間出し手金利)など主要な要因の可視性を低める」と語った。

 エアキャップのキース・ヘルミング最高財務責任者(CFO)は「現在の市場条件により利益率の高い航空機売却の実現が遅れているが、当社のリース収入やネットスプレッドのパフォーマンスは引き続き改善している。さらに、市場の混乱は広く報道されているが信用・金利リスク管理に重点を置いたエアキャップの事業原則は多額の流動性の維持と相まって、今後数カ月間、当社をより良く保護する」と語った。

 ▽決算概要
 エアキャップは今年第3四半期の純利益が5130万ドル、基本・希釈後1株当たり利益はいずれも0・60ドルだったと発表した。この純利益には上限金利の値洗いに関係する経費と980万ドル、基本・希釈後1株当たり0・12ドルの株式報酬が含まれている。上限金利の値洗いに関係する税引き後経費は820万ドル、株式報酬の税引き後経費は160万ドルだった。

 ▽財務データの詳細(単位100万ドル)
営業実績 9月30日までの3カ月       9月30日までの9カ月
     2008年 2007年  増減  2008年 2007年  増減
総収入  301・9 335・9 10%減 929・8 892・0  4%増
純利益   51・3  48・6  6%増 170・8 143・3 19%増

 2008年第3四半期の総収入は前年同期比10%減少したが、これは主として同四半期の航空機売上高の金額が減少したことによるもの。
総収入内訳
       9月30日までの3カ月       9月30日までの6カ月
       2008年  2007年  増減  2008年 2007年 増減
リース収入 
基本レンタル料
       132・9 125・2  6%増  386・0 368・3 5%増
保守料金   34・6  11・2 209%増   57・6 31・7 82%増
リース終了補償金
       0・4   0・3   33%増   12・5 17・1 27%減
リース収入(小計)
     167・9  136・7  23%増  456・1 417・1 9%増
 販売収入122・4  187・1  35%減  445・6 420・3 6%増
管理手数料・利子収入
       8・0   12・1  34%減   23・9 34・9 32%減
その他収入  3・6   -    100%増    4・2 19・7 79%減
総収入   301・9 335・9  10%減  929・8 892・0 4%増
 基本レンタル料は資産ベースが拡大した結果、前年同期比で引き続き増加した。この増加は2008年第3四半期に基本レンタル料を590万ドル押し下げることになった航空会社の債務不履行の影響により一部相殺された。

 また、基本レンタル料の増加は当該期間に変動金利を採用したレンタル料の金利収入減少の影響により圧縮された。しかし、変動利付きリースの基本レンタル料の減少は変動利付きリースに関係する金利コストの減少で相殺された。第3四半期の基本レンタル料は前年同期比6%増の1億3290万ドルになったが、上限金利の値洗いの影響と非経常経費を除外した金利費用は下記の表のように前年同期比22%減の3960万ドルになった。当社はこの差異を前年同期比で25%増加した9330万ドルのネットスプレッドとしている。
9月30日までの3カ月       9月30日までの6カ月
     2008年  2007年  増減  2008年 2007年 増減
基本レンタル料
     132・9  125・2 6%増  386・0 368・3  5%増

債務利子 51・0*  58・3 13%減 120・2* 177・1 32%減

プラス:上限金利値洗い
     (11・4) (7・6)50%増  (6・0) (8・0) 25%減
マイナス:証券化債務借り換えの非経常金利費用
      -     -     0%     -  (27・4)100%減

上限金利の値洗いの影響と証券化債務借り換えの非経常金利費用を除外した債務利子
債務    39・6  50・7 22%減  114・2 141・7 19%減
ネットスプレッド
      93・3  74・5 25%増  271・8 226・6 20%増
 *は証券化された航空機の未償還売却手数料に関係する費用150万ドルで一部相殺された証券化債務の割引購入による利益280万ドルを含む。

 2008年第3四半期の保守料金が前年同期比で増加した一因は、リース賃貸人へ返還が予想される推定保守料金の変更によるもの。この推定額の変更は将来の保守料金返還を予測するために使用する改善モデルの実行に伴って生じた。エアキャップはすべての保守収入をリース賃借人への返還を想定しない収入として記録している。2008年第3四半期には推定額変更の結果、1660万ドルが保守収入として記録された。この1660万ドルのうち370万ドルは同四半期に、1290万ドルはそれ以前の時期にリース賃借人から回収された。2008年9月末現在、エアキャップの未払い保守債務は2億810万ドルだった。

 保守料金の増加は航空会社によるリース契約の不履行も一因となっている。リースの終了は同四半期に830万ドルの保守収入を実現したが、これは航空会社から以前回収した保守料金とエアキャップがまだ保有している保守料金を示している。

 ▽実効税率
 今年9月末までの1-9月期のエアキャップの総合実行税率は8・3%で、航空機事業の税率は7・8%、エンジン・部品事業は14・2%だった。前年の総合実行税率は11・8%だった。

 財務状況
       2008年9月30日 2007年9月30日 増減
リース用保有フライト機器
       3831・2      2927・3   31%増
総資産    5269・5      4253・2   24%増
負債総額   4111.6      3313・1   24%増
純資産    1126・6       907・9   24%増

 今年9月30日現在、エアキャップのポートフォリオは所有、発注、契約・仮契約済み、あるいは管理下にある航空機314機とエンジン74基で構成された。
 注:この報道資料に掲載された財務情報について

 以下はこの報道資料で使用された非GAAP(米一般会計原則)の定義であり、最も関連したGAAP手法に対する手法調整である。

 純利益は市場金利キャップと株式ベースの償却の影響を除く。この手法は該当期間中の金利キャップと株式ベースの償却と関連税還付純益をGAAP純利益に追加することによって決められる。エアキャップは投資家に対しエアキャップの業績についてより意味ある見方を提供すると考えており、投資家は過去および将来の決算での業績が分かりやすくなると考えている。エアキャップは金利キャップを金利低下から恩恵を受け変動金利債務での金利上昇から不利益を蒙らないように使用している。エアキャップ役員会はリースその他の契約からの変動、固定現金インフローを考慮していかなる時期でもキャップの適切なレベルを決定している。エアキャップは金利キャップにヘッジ会計を適用しない。その結果、エアキャップは各四半期でエアキャップの損益計算書における金利キャップの公正価格の変化を認識するよう要求されている。以下は純益に対する市場金利キャップと株式ベース償却の影響を除外した2008年と2007年の9月30日現在の3カ月と9カ月の調整済み純益である。

9月30日までの3カ月 同9カ月
2008    2007   増減(%) 2008    2007     増減(%)
純利益  $51・3  $48・6 6%  $170・8 $143・3  注19%
プラス:
市場金利キャップ
税還付、償却
  8・2  6・7 22% 3・7   7・0 -47%
税金 1・6  2・8 -43% 4・5 3・2   41%
上記プラス要因を除外した純利益   
$61・1 $58・1 5%  $179・0 $153・5 17%
注)Includes a charge to interest expense from refinancing of securitized bonds of $24.0 million, net of tax.

 市場金利キャップと株式ベース償却を除外した1株当たり利益はその期間中の発行済株数平均によってそのような影響を除外した純利益を割ることで決定される。平均株数は1日平均に基づいている。

 ネットスプレッド:この手法は基本リース料と市場金利キャップおよび自動更新でない料金の影響を除外した金利負担との間の相違である。エアキャップはこの手法がエアキャップのリース業務売り上げに関する変化やトレンドについて投資家に理解しやすいと考えている。この手法はヘッジ方法としてのスワップの代わりに金利キャップを使用することの影響とリースされた航空機、リース率、稼働率の変化を反映している。2008年と2007年の9月30日に終わる3カ月間、9カ月間の基本レントに対するネット・スプレッドの調整は先に述べてある。

 ▽エアキャップ・ホールディングス(AerCap Holdings N.V)について
 エアキャップは航空機とエンジンのリース、トレーディングと部品販売で市場をリードするグローバルな総合航空会社。エアキャップは航空機管理サービス、航空機とエンジンの保守・修理・点検サービス、航空機の解体を行っている。エアキャップはオランダに本社を置き、アイルランド、米国、シンガポール、中国、英国にオフィスがある。


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