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電気自動車量産へ一気に加速、米クライスラーが発表

 【オーバーンヒルズ(米ミシガン州)24日PRN=共同JBN】米クライスラー社が24日発表した量産に向けた電気自動車などについての要旨は以下のとおり。

 ― 2010年に北米市場で、2010年以降には欧州市場での市販を計画。
 ― 2009年には約100台のクライスラー電気自動車が政府、企業、公共事業、ク   ライスラー開発向け車両として、公道走行を開始。
 ― 同社電気駆動技術を前輪駆動車や後輪駆動車、ボディオンフレームの4WDプラッ   トフォームにも拡大を予定。
 ― ダッジEV:100%電動走行の高性能スポーツカー。
 ― ジープEV:ラングラーにレンジエクステンダー(航続距離延長装置)を搭載。ユ   ーザーは 地球を気ままに走りながら、地球を守ることも可能に。
 ― クライスラーEV:タウン&カントリーにレンジエクステンダー(航続距離延長装   置)を搭載した電気自動車。
 ― クライスラーとゼネラル・エレクトリック社、米国エネルギー省と共同プロジェク   トへ。

 行動は言葉より雄弁である。
 ( http://www.newscom.com/cgi-bin/prnh/20080923/CLTU074-a )
( http://www.newscom.com/cgi-bin/prnh/20080923/CLTU074-b )
( http://www.newscom.com/cgi-bin/prnh/20080923/CLTU074-c )
( http://www.newscom.com/cgi-bin/prnh/20080923/CLTU074-d )

 クライスラー社は24日、クライスラー社とENVIが、量産を目指した新しい先進電気駆動技術パッケージをそれぞれクライスラー、ジープ、ダッジ向けの3モデルに搭載して導入する計画を発表した。

 クライスラーでは電気駆動モデルを1つ選択し、2010年に北米市場で、2010年以降には欧州市場で市販する予定。 また、2009年には約100台のクライスラー電気自動車が政府、企業、公共事業、クライスラー開発向け車両として、公道走行を開始する。

 クライスラーは、量産を目指した先進電気自動車の開発は十分に進んでおり、今後数年間で電気駆動技術を前輪駆動車や後輪駆動車、ボディオンフレームの4WDプラットフォームにも拡大していく予定であることを明らかにした。

 24日、クライスラーはアーバンヒルズに位置するワールドヘッドクォーターで、電気駆動システムのプロトタイプであるダッジEV、ジープEV、クライスラーEVを発表し、その走行性能と実力を実際に示した。

 クライスラーのボブ・ナーデリ会長兼最高経営責任者(CEO)は次のように話している。「私たちには環境に優しく、燃費の良い、先進の電気自動車を提供するという社会的な義務がある。迅速に、しかも他の自動車メーカーよりも早くこの責任を果たすことが私たちの目標である。今回のクライスラー、ジープ、ダッジへの電気自動車プロトタイプの発表により、きわめて近い将来の展望が見えてきた。そしてこれは、私たちが真剣であり、電気自動車の量産に向け開発が順調に進んでいることの証でもある」。

 ▽ENVI
 クライスラーの電気自動車およびレンジエクステンダー搭載電気自動車の開発はENVI部門(環境「environmental」の頭から4文字を取った名称)が担当している。ENVIは電気量産自動車および関連する先進技術を確立するための社内組織である。将来のクライスラー、ジープ、ダッジ製品に対する電気駆動システムの開発は、急速に成熟しつつある。

 トム・ラソーダ副会長兼社長は次のように話している。「ENVIはわずか1年前に、クライスラーの電気自動車の開発を促進する目的で戦略的に作られた組織だが、期待を超える成果が上がっている。クライスラーはENVIによって、電気自動車およびきわめて燃費効率の高いレンジエクステンダー搭載電気自動車を市場へ送り出すための技術の開発を推し進めている」。

 ▽電気自動車技術
 クライスラーの電気自動車に使用されているのは基本的に、わずか3つのコンポーネント。それは、ホイールを駆動する電気モーター、電気駆動モーターに電力を供給する先進のリチウムイオンバッテリー、エネルギーの流れを制御するコントローラーの3つである。この電気駆動システムは、前輪駆動車や後輪駆動車、ボディオンフレームの4WDプラットフォームに対しても開発が進められている。

 商品開発担当上級副社長、フランク・クリーゴン氏は次のように話している。「この技術を使用することで、排出ガスゼロで150-200マイル(241-321キロメートル)の航続距離を持つ車両を開発することができた。通常、米国では80%近くの人々が1日40マイル以下、年間で1万4000マイル(2万2531キロメートル)以下しか走行しないから、米国での日常走行距離を大きく上回ることになる。クライスラーの電気自動車は、社会的な責任を果たし、化石燃料への依存を減らし、月々のガソリン代を減らすことに貢献する一方で、ユーザーの望む性能やユーティリティも犠牲にしていない」。

 ▽レンジエクステンダー搭載電気自動車技術
 レンジエクステンダー搭載電気自動車では、小型のガソリンエンジンの付属した電気自動車の電気駆動コンポーネントに一体型の電気ジェネレーターを組み合わせることで、必要な場合にエネルギーを生成し、電気駆動システムに電力を供給することができる。
 これにより、性能に妥協のない、現代のガソリンエンジン搭載車と同等の航続距離を持つ、電気自動車が実現した。

 レンジエクステンダー搭載電気自動車は、環境への責任を果たしながらも、航続距離、快適性、ユーティリティを犠牲にしていない。

 ▽ダッジEV
 ダッジEV開発電気自動車は2人乗りの後輪駆動スポーツカー。高性能を排出ガスゼロで実現した。

 先進車両エンジニアリング担当副社長兼ENVI代表のルー・ローズ氏はこう話している。「ダッジEVは、電気自動車に求められるものに対する新しい基準を作り上げた。クライスラーの電気自動車技術は走りの楽しい高性能スポーツカーを可能にし、ダッジブランドの環境に優しい車両というビジョンの再定義に一役買っている」。
 この電気駆動システムは基本的に、200kW(268HP)の電動モーター、先進のリチウムイオンバッテリー、一体型パワーコントローラーの3つのコンポーネントで構成されている。

 最高出力200kWを発生する電気駆動モーターの最大トルクは650N・m(480ポンド-フィート)である。この瞬時のハイトルクを実現する電気駆動モーターにより、圧倒的な性能が実現した。ダッジEVの0-60mph(0-95km/h)加速は5秒未満、0-1/4マイル加速は13秒となっている。また、最高速度は120mph(193km/h)である。

 最新の先進リチウムイオンバッテリー技術を使用することで、ダッジEVの連続航続距離は150-200マイル(241-321km)と大半のユーザーの日常の平均走行距離の3倍以上を実現した。車両の充電もシンプルな1ステップで完了する。ユーザーは家庭用の標準110V電源に8時間つなぐだけである。さらに通常の家庭用220V電源を使用すると、充電時間は半分の4時間に削減される。

 ダッジEVはガソリンを消費することなく、排出ガスゼロで日常の走行に使用することのできる、高性能スポーツカーを走り好きのユーザーに贈る。

 ▽ジープEV
 ジープEV開発車は今回、名高いジープ・ラングラーの性能によって「どこにでも行ける、何でもできる」クルマの未来を開くことに成功した。

 ジープEVは地球を気ままに走りながらも地球を守る能力をユーザーに提供することで、ラングラーの比類なきオフロード性能と究極の「自然に優しい走り」を融合している。

 このジープEVレンジエクステンダー搭載電気自動車には、電動モーター、先進のリチウムイオンバッテリーシステム、小型ガソリンエンジン(必要な場合に追加でエネルギーを発生し、電気駆動システムに電力を送る一体型電気ジェネレーター付き)を使用している。最高出力200kW(268HP)を発生する電気モーターの最大トルクは、400N・m(295lb-ft)である。ジープEVの航続距離は、ガソリン約8ガロンを使用して400マイル(644km)。そのうち40マイルを燃料消費ゼロ、排出ガスゼロでフル電気走行することが可能である。

 ローズ氏は次のように話している。「現在、ホイール内部へモーターを装着した4WDの可能性も模索し、ENVIの先進の電気駆動技術を最大限に誇示したいと考えている」。

 電気駆動モーターの瞬時のハイトルクと各ホイールを独立して正確に制御する能力によって、オフロードでの走行性能を犠牲にすることなく、ジープブランドに最適のオフロード性能を実現することができる。

 ▽クライスラーEV
 クライスラーEV開発車は、セグメントのベストセラーミニバン、クライスラー・タウン&カントリーをベースとしてENVIの電気駆動技術のもう1つの可能性を示す、レンジエクステンダー搭載電気自動車である。

 ローズ氏は次のように話している。「クライスラーEVによって、クライスラー・タウン&カントリーは7人乗りの性能と豪華さを電気駆動技術と融合し、家族で妥協なく使用できる実用性を示すことができた。ENVIの電気駆動開発車は、クライスラーの将来の商品ラインアップのさまざまな車両に、さらに多くの電気駆動システムを適用できることを示している」。

 クライスラーEVでは、一体型の小排気量ガソリンエンジンと電気ジェネレーターに電気自動車の電気駆動コンポーネントを組み合わせることで、必要な場合にエネルギーを生成し、電気駆動システムに電力を供給することができる。これにより、電気自動車のすべての特性を実現しながらも、妥協のない、現代のガソリンエンジン搭載車と同等の航続距離が実現した。

 クライスラーEVには出力190kW(255HPSAE)、トルク350N・m(258lb-ft)のモーターが使用され、0-60mph(0-95km/h)加速は約9秒となっている。クライスラーEVレンジエクステンダー搭載電気自動車はバッテリーだけで40マイル走行することができ、ガソリン約8ガロンを使用し、400マイル(644km)走行することができる。これによって、クライスラーEVは燃費の良い完璧なファミリーカーとなった。

 クライスラーEVから得られた知識と経験は、クライスラーの前輪駆動ラインアップに適用されることになっている。

 ▽エネルギー省との共同事業合意
 クライスラーとゼネラル・エレクトリック(GE)社は共同で、先進のエネルギー貯蔵技術を研究するための米国エネルギー省とのプロジェクトを遂行している。

 クリーゴン氏は次のように話している。「クライスラーがGEと提携することで、クライスラーの電気自動車で示された電気駆動技術とGEの先進のエネルギー貯蔵システムの研究開発が結びつけられた。エネルギー省との共同作業における全体的な目標は、電気自動車のバッテリーパックを小型化し、現在のものよりもコストを大幅に低減することのできる、新しい一体化されたエネルギー貯蔵システムの開発にある」。

 クライスラーおよびGEは、GE独自の技術によるデュアルバッテリーソリューションの開発と評価を行う予定。

 クリーゴン氏は次のように話している。「電気自動車を開発する上での挑戦の1つは、例えば加速中などのパワーと長い航続距離に対するエネルギーの正しいバランスを実現するバッテリーを探すことである。パワーに偏向した特性とエネルギーに偏向した特性の2つの異なるバッテリー特性を1つのバッテリーパックへ融合することで、クライスラー電気自動車の将来は非常に明るいものになると信じている」。


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