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ケヴィン山内の英語まめ知識

日本人の頭の中とことば その2

 人類はその発生から現在に至るまで争いと殺し合いを続け、いわゆる興亡の歴史を繰り返してきました。陸続きのユーラシア大陸では国境の向う側には敵がいて、水や食物の取り合いからトラブルが発生し多くの人命が失われました。双方の力が同程度であれば相手のことばを双方で理解し、自分達の立場を正当化し、つまり自己を主張することにより少しでも争いを避けようとしました。

 川(river)の水の取り合いから rival ということばが生れ、相手のことばがチンプンカンプンでただ「バーバー」や「ターター」としか聞こえなかったので barbarian (バーバリアン 野蛮人)とか、 Tartar (タルタル 東ヨーロッパ人が蒙古人をそう呼んだ)が生まれました。タルタルはタタールとも言います。

 時代が下り裁判制度が生まれた後でも、裁判官と被告がお互いの言語を理解できないために、被告側の主張が正当に判断されない例は多々ありました。結果として正当な裁判が行われずに死刑になった例は枚挙にいとまがありません。

 日本はまわりが海で他国と陸続きで国境を接していなかった上、鎖国もしていました。そのため他国との文化・言語などの交流の機会を自ら閉ざし、狭い国内で争いを避けるために自己主張をしないことが美徳であるという考えが広まりました。そのことが逆に、今この国際化の時代に日本人の国際間における社交下手を招いてしまいました。私の英語の生徒だった女性はもの静かであまり喋らなかったのが、3年間のアメリカ留学生活の結果別人かと思えるほど活発になって帰国しました。向うでは黙っていると本人の意志でそうしているのだと解釈され、とにかく何から何まで英語で自己主張しなければ何も先へ進まなかったそうです。前回その1で述べた、物事をはっきり言わないようにするための変な表現が今増えすぎています。だから同じ日本人の内館さんにも本を書かれてしまうのです。

 ところで、世界で一番強いとされるアメリカの女性でさえも、はっきり言わない表現をもっています。その1つを最後にご紹介しましょう。
 uncle Charlie came to visit とか aunt Mary came to visit  これはある事情による体の不調を理由にお誘いを婉曲に断る場合に使います。

 100回の長きにわたりこのコラムをご精読、ご笑覧下さり誠にありがとうございました。何かご質問がありましたらFJ紙に手紙やFAXを下さいませ。どんなことにもはっきりお答えします。
        
Merry Christmas
            Dec. 2013  Kevin Yamanouchi

本紙2013年12月27日付(2278号)掲載





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