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ケヴィン山内の英語まめ知識

日本人の頭の中とことば その 1

 日本人は、はっきりものを言わない、がこの頃外国人からとてもよく聞かされる評価です。私がこの原稿を書くために気になることばをメモしていたら、横審(ヨコシン)の魔女と言われる内館牧子さんの「カネを積まれても使いたくない日本語」という今ベストセラーの本に全部網羅されていてびっくりしました。

 ~の方(ほう)、~かなぁー、~という風に、~とか、~みたいな、ある意味で~、 etc.これらは全て自分の意志をはっきり言うことが下手で、そして相手に嫌われたくない、そのための表現方法だと思います。(あるレストランで)お会計の方お願いします、嬉しいかなぁーと思います、~という風に思います、僕カレーとか好きじゃないんです、北朝鮮はある意味で日本に対して~、ここに挙げた全部の表現が朝から晩までラジオ、テレビから聞こえてきます。はっきり言わないことではトップのしかも日本語が不自由な国会議員は上述を多用しています。~と思います、についてはNHKのある幹部アナウンサーが全アナウンサーに向けて「思わなくていい!!」と注意命令したそうで一億総白痴化的に「ではこれからあちらのビルへ行ってみたいと思います」のように「思います」は全く余計だと筆者も賛成です。これもはっきりものを言わない日本人のしかもプロのアナウンサーでさえ持っている話し癖かも知れません。

英語にも上記の表現は存在します。上の順序通りに書いてみましょう。ニューアンスは
かなり違ったものになってしまいます。 that way (あっちの方角、そういうやり方)ですが日本語の曖昧な表現にぴったりする英語はありません。 I wish I could~(~できたらいいなー)ですが上述のままで馬鹿な日本語に当てはまる英語はないです。 in that way (~という風に、とかやり方で)、 ~ or 本来なら this or that のように他者と較べるための「とか」であるべきです。

 日本語で今使われている「とか」は or ではなく、~みたいな物、というニューアンスになってしまいました。 things like that これは英語でもよく使われます。

 最後の「ある意味で」は in a sense と言いますが、これを発言に責任を伴う偉い人が言うと、それどういう意味? と聞きたくなってしまいますね。今 私の横のテレビで女性コメンテイターが「~かなぁという風に思います」と言っていますが、はっきり言ってこれ最悪ですね。

アメリカでも直接はっきり意志を示さない表現はあります。好きでない食物を出されたら、it’s intersting とか I have tasted before (前に食べたことがあります) などと言ってすぐに話題を変えているようです。~のようですと言わず、私ももっとはっきり言わなければいけませんね。 因みにこういう軽い嘘を white lie とか social lie と言います。

 このコラムが終わりに近づくに従って英語の分量が少なく日本語の占めるスペースがより多くなってきました。日本語を英語にしたりその逆にする作業をしていると、日本人とは何か、日本語とは何か、について考えてしまいその結果日本語での説明が増えてきてしまいました。今回と次回の最終回は上述の傾向が顕著になってしまいますがお許し下さい。

本紙2013年11月27日付(2275号)掲載





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