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ケヴィン山内の英語まめ知識

「食べる」と関係のあることば

 皆さんは英語の授業で「table テーブル」正式にはテイブル、を習った時に日本語の「タベル」と発音が似ているなァと思ったことはありませんか? 皆さんの答が「No」でも構いません。でも大学でフランス語を始め、綴りが英語と同じでも「ターブル」と発音するのを知って今度はさすがに「ターブルとタベル」がやっぱり似ているなと思ったに違いありません。もともと語源に興味のあった私は辞書を引いたら色々なことが判ってきました。

 「table」にはテーブル、食卓などの意味の他に「食事、料理」の意味もあったのです。ギリシャ語で「タヴェルナ、居酒屋」が英語に入り「tavern タヴァーン」になりギリシャ語の綴りから最後の「a」が外れただけです。ご存知のように民族の発音癖により「ベ」の発音が「b か ⅴ」になっているわけです。近い例としては「travel 旅行」と「trouble トラブル」があります。現実に昔の旅はトラブル続きでしたから。

 英語の先生が語源を探る楽しみを少しでも持っている人だったら、語源が全く同じだと断定しないまでも、少なくとも生徒にことばに興味を持たせてくれただろうと感じるし、もっと英語嫌いが減っていたのではないかと私は強く思います。いくつか例を挙げましょう。日本語で「名前 ナマエ」が仏語で「ノム」、ドイツ語で「ナーメ」、「耳たぶ」が英語で「tab タブ」、英語の「foot 足」が中国語、日本語で「歩 ふ」に、以前の号で述べた、色が黒い鳥だから「カラス」はカラ(黒)+ス(鳥をあらわす接続詞)、
カラスは黒いから英語でも「クロー、crow」と言います。

 さて食べもののことばに戻りspoon は古英語でspon で「木片、かけら」の意、ギリシャ語のスプーンはcuiller で「貝」の意味でその語の発祥が目に見えるようですね。昔「knife ナイフ」はk を発音していました。「knight ナイト」は騎士、「know ノウ、知る」「knee ニー、ひざ」もみんな昔は k を発音していました。「fork フォーク」はもともと股鍬
(またぐわ)と言われていて、「別れ道」という意味もあるのですよ。breakfast は
break + fast でfasting断食(だんじき)を終わりにするという意味から来ています。

 面白いことに「dinner夕食」、動詞はdine は、di(~の反対)+ ne(断食)で13世紀の古フランス語ですが、これらも意味の発祥は同じです。「 n 」 を1つ外す「diner ダイナー」で軽食堂、アメリカ人はおふくろの味食堂と思っている、や食堂車の意味です。
supper は夜食を意味しますが、実は中にsoup (スープ)が入っています。lunch は luncheon の略語で昼食を意味します。上述のlunch とdinnerは一般的な意味であり、英連邦の国オーストラリア、ニュージーランドではlunch が夕食だったりdinner が昼食になることもあります、念のため。
 

本紙2011年1月17日付(2172号)掲載





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