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ケヴィン山内の英語まめ知識

日本語と印欧語の関係 その(3) 食べものの話 

 ウィリアム王が即位して、北フランスから王に従ってきた貴族達はイングランドに定住したが、 やがて彼等はウェールズ、アイルランドそしてスコットランドへと更なる移住をしていきました。それまでゲルマンと北欧(ノルマン)の文化の影響を受けていたイングランドは、ノルマンディーから来た、すっかりフランス化したノルマン人が持ってきた北西フランス文化を押しつけられることになりました。

 そうは言っても被支配者も支配者も、もともとは同じノルマン人で顔も同じですから、被支配者が燃えるような憎しみを支配者に対して持ったという記録は見当たりません。従ってフランス語も被支配者の間に深く浸透していくことになり、それがやがて英語になっていきました。

 おもしろいのは食べものに関する英語で、同じ意味を表すのに被支配者と支配者が異なる単語を使っているんですよ。 例えば、日本では牛と牛肉、豚と豚肉と肉を付けるだけで通じますが、イギリスでは牛を意味する ox、bull、cow に対し牛肉はフランス語からきた beef、そして豚を意味する pig、 swine に対し豚肉は pork、また、羊の sheep に対し羊肉の mutton という具合なんです。

 つまり、お前は作る人、オレは食う人でここに階級差が表われています。今でも料理に関することばでは「食う人」の立場であるフランス語が英語の中でそのまま使われていますね。例えばコック長はシェフ chef、スープストックはブイヨン bouillon、フライパンで炒めることはソテー sauteです。他の例としては、道路/通りを意味する street、 road に対し avenue、大通りを意味する strip に対し boulevard (ブールーヴァード),etc., etc.アメリカのニューヨークでは南北の通りを avenue、東西を street と呼んで混乱を避けています。

 以上述べたように、イギリス語へ入ったフランス語は比較的文化的な支配者階級の単語が多いように思います。それまでの古英語はフレンチコンクェストを境に中世英語へと変化していきました。

 さて、もともとフランス王の臣下であったノルマンディー公がイギリス王になり巨大な権力を持つようになったので、フランスはやがてイギリスと100年戦争を始めることになりました。

本紙2010年12月7日付(2168号)掲載





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