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ルール

 銀座を夕方の十七時頃歩いてみると、たまに不思議な光景を目にします。黒服がガラガラと台車を押して、新品ではない大量のボトルを移動している。まるで酒屋です。あれは、ホステスがお店を移籍する時に係のお客様のボトルもお引越ししているのです。銀座独特ではないでしょうか? 北新地に居た時は、女性が移籍してボトルも移籍するなんて聞いた事がありませんでしたから。新しいお店に入店したら、新しいボトル、と言うのが本来なのでは……。でもまぁ、係のホステスの店にしか行かないと決めていらっしゃるのならボトルがある方がお客様も行き易いし、アリなのかな。移籍先では前店のママやお姉さんのお客様が来店下さったら、前店に報告せねばならない決まりもあります。だいぶ気まずいです。


 銀座には独特のルールが他にもあります。店のルールでお話をすると、セットサロンは必須だし、月一回は新調日があってワンピースなり着物なりを新調しなければなりません。ドレスよりもワンピースやスーツを着なさい、とママに教えて頂きました。ドレスはもともと銀座にはなかったスタイルだそうです。私なんかはお人形さんになった気分で仕事できるから、正直ドレスを着るのに憧れたのですが……、最先端のファッションを取り入れている街だからこそ、モードを身に付けなさいという事なのでしょうね。また、規則として同伴ノルマが課されます。同伴ノルマ=お客様に負担……。だったら、しない方が良いと思っちゃいます。飲みに行きたいタイミングでご来店された方が良いに決まっているのに、って。同伴して一緒に美味しいものを食べて仲良くなるのも一理あるのかもしれませんが、お店の規則は実に理不尽。同伴ノルマに限らず、遅刻、欠勤、売上未達でもペナルティを取られます。昼間の世界なら明らかに労基に引っ掛かるレベルです。


 あと、ルールで殿方に是非覚えておいて頂きたい事が二点。一つ目がタクシー。平日二十二時以降は決まった乗り場からしかタクシーに乗車できません。ご存じないお客様にとっては不便です。二つ目が、銀座は「永久指名制・係制度」です。初回に決まった女性が貴方の担当ですので、目当てでない女性が担当になる事も……。

 違和感を覚える方も多いと思いますが、馴染んで下さいね!





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