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三菱マテなど、世界最高の耐熱性有する航空機タービン用素材開発

航空機タービン用
プレス鍛造したTMW合金製のタービンディスク素材(写真・三菱マテリアル)
 三菱マテリアルと独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)はこのほど、世界最高水準の耐熱特性を持つ鍛造合金素材の製造技術を開発。国内に設備を有する溶解・鍛造プロセスを用いて航空機エンジン用タービンディスク素材を製作することに成功した。

 今回の研究開発は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け2007年に開始された。NIMS・超耐熱材料センターで開発されたニッケル-コバルト基耐熱合金(TMW合金)の製品実用化を目的として、三菱マテリアル・桶川製作所においてトン級のインゴットから溶解、鍛造工程を経て熱処理にいたる製造技術開発を行った。

 通常、航空機エンジンのタービンディスクやコンプレッサーブレードなどの高温高強度部材には、耐熱性に優れたニッケル基鍛造超合金が採用されているが、材料の耐用温度をさらに高めるためには様々な合金元素を添加する必要がある一方、成分のばらつきや製造工程中の割れが発生しやすくなるという問題がある。

 こうした問題を克服するため、インゴット溶解条件の選定により、結晶粒径10ミクロンの均質な微細組織を持つ実用化可能サイズ(φ440ミリ)の試作タービンディスク素材の作製に成功した。

 また、このタービンディスク素材の高温特性をクリープ試験で評価した結果、現在実用化されている高強度鍛造超耐熱合金(アロイ720Li)より50℃以上高い、鍛造可能なものとしては世界最高の耐用温度を有することが確認された。

 航空機エンジンのなかでもタービンディスクは、特に高温・高圧の環境下で回転する大型部品であるため、非常に高い信頼性が要求され、これまで国内外の航空機用エンジンすべてにおいて、欧米で開発された合金製ディスクが使われてきた。

 一方で、近年は、航空機運航時の燃料消費抑制の観点から、従来よりも高温で稼働可能な航空機エンジンが求められ、材料の耐用温度を高めることが必要とされている。今回、耐熱合金素材の製造技術開発及び実用化可能なサイズのTMW合金タービンディスク素材製作を実証したことにより、今後はNIMS開発合金を使用した国産タービンディスクの航空機エンジンや産業用ガスタービン市場への参入が期待できる。


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