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イーライリリー、重症の精神病患者に家族の支えと正しい治療が効果

 【バルセロナ2日PRN=共同JBN】統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害(躁うつ病)など重症の精神病患者は生産的で充実した生活を送ることができる。それでも精神病医の国際的な調査ではスティグマ(偏見)、限られたリソース、再発への恐れとその結果など、長期的な健康には大きな障壁があることが示されている。

 オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペイン、英国、米国の精神科医697人の見方を集めたこの調査は、介護する家族、スティグマ、治療の不順守、再発がこうした衰弱性の病気にかかっている患者の生活にどのような影響を与えるかについて医師たちの知見を探っている。調査結果は、再発がこの病気を持つ人と家族にとってどれほど破滅的な打撃になりうるか、またそれが結果としてどのように入院、失業、引きこもり、さらには自殺をもたらすかを精神科医がしばしば見ていることを示している。

 精神科医のこの調査は「キーピング・ケア・コンプリート(介護を完全に続ける)」調査シリーズの2番目のもので、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害を持つ人を介護する家族の体験に光を当てて、1082人の介護者を評価した2006年の調査結果に続くものである。

 世界精神保健連盟(WFMH)のプレストン・ガリソン事務局長兼CEOは「世界で5000万人以上が重症の精神病に苦しんでいる。重症の精神病の間接的な結果は、介護する家族の肉体的、情緒的健康に悪影響を及ぼすということである。このため、家族が愛する者をよりよく介護できるように必要なサポートを得ることが非常に重要である。『キーピング・ケア・コンプリート』は重症の精神病を持つ人、その治療、介護に当たる人が直面している実生活の困難の理解を助ける極めて重要な研究計画だ」と語っている。
 「キーピング・ケア・コンプリート」はイーライリリー社が世界精神保健連盟と提携して開発した。

 ▽再発の結果
 患者は生涯にわたって複数回の再発を経験することがあるので、再発は介護者、精神科医にとって重要な関心事である。介護者の37%は、家族が精神病と診断されて以来5回以上再発したと答えており、大半の介護者はしばしば、あるいはつねに愛する者の再発を心配している。
 再発の結果は患者と介護者にとって破滅的である。
 ― 精神科医の52%は再発の結果、患者が自殺を図ったと語っている。
 ― 介護者にとっては家族の再発の結果、自らの精神的、肉体的健康、財政状態が悪化することがあり、失業、生活の大幅な混乱をもたらすことがある。
 ▽薬物療法の選択と服用不順守への配慮
 調査対象の精神科医の84%は、薬の服用不順守が統合失調症患者の再発の第1の原因だと語り、98%は完全あるいは部分的な不順守がほとんどの双極性障害患者で効果的な治療に対する大きな障害になっていると語った。さらに、精神科医と介護者は、服用の中断が治療成功の障害であり、非常に多くの場合再発に至るということで見解が一致している。
 ドイツのハンブルク大学精神病・精神療法科医長のディーター・ナベル教授は「この研究は、服用順守が患者にとって大変困難だと精神科医が引き続きみていることを示している。すべての患者がそれぞれに異なっており、そのために精神科医は患者を知り、治療に対するその態度を知り、その社会的状況を知って、患者が自分に効果のある治療計画を見つけてそれを守るのを助ける必要がある。しかし、この調査が示すように、単なる薬物療法以上の恩恵つまり― 家族の支え、トークセラピー、食事、運動、安定したスケジュールも患者のよい状態を保つのを助ける」と語っている。

 ▽スティグマの結果
 重症の精神病を持つ人に対するスティグマは苦痛を与え、有害な結果をもたらすことがある。
 ― 精神科医の92%は、主流メディアにおける重症の精神病についての不正確な描写がスティグマを増幅し、患者の健康状態に悪影響を与え、治療を妨げていると語っている。
 ― 精神科医の87%、介護者の82%は、スティグマと差別の影響で重症の精神病を持つ人が快方に向かい、それを維持するのがより難しくなっているとみている。

 ▽健康への道:正しい治療法、介護者、健康計画を見つけること
 正しい治療法を見つけ、それを続けることで患者の日常生活の顕著な改善をもたらすことができる。両調査の結果が示しているのは、治療が成功すれば患者はその積極的な結果として、自立して毎日の仕事をやり遂げ、入院せず、堅実な職を持ち、自分自身で生活し、ロマンチックな関係を結ぶことを経験できるということである。

 精神科医の96%、介護者の74%は、薬物療法に加えて、家族の支えが患者のよい状態の維持を助けるカギとなる要因だと語っている。そして介護者、精神科医とも、患者の全体的な健康状態を助けるようにつくられたプログラムが患者自身による症状管理を助けるために貴重だと報告している。しかし、調査結果は精神的な健康のためにもっと多くのサービスが必要であることを指摘している。

 精神科医の大半は、介護者のサポート、教育プログラムへの参加を勧めているが、57%は実際にプログラムに参加したのは自分がかかわった介護者の10%以下だったと報告している。リハビリのリソースについて尋ねると、地域共同体に患者が利用できるリソースが十分にあると考えているのは、精神科医の19%にすぎなかった。
 統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害と介護者の見方に関する国際調査のデータとファクトシートはwww.wfmh.orgで入手できる。

 ▽双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害について
 双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害は複雑な精神病で、人種的、文化的、経済的境界はない(注1)。以前は躁うつ病と呼ばれていた双極性障害は、躁とうつの症状を伴う衰弱性の気分の変動が特徴である(注2)。統合失調症は妄想(理性で修正できない架空の信念)、幻覚(通常は幻聴、幻視の形になる)を含む急性の精神症状の出現と情緒減退、関心喪失や絶望、自殺思考などのうつ症状のような長期的障害が特徴である(注3)。統合失調感情障害は、統合失調症と感情(気分)障害の結合が特徴である。世界で2700万人が双極性障害に苦しみ、2500万人が統合失調症に苦しんでいる(注4、5)。統合失調感情障害患者の正確な数ははっきりしないが、1000人中2人から5人と推定されている。総合失調感情障害は統合失調症患者全体の4分の1ないし3分の1ともされている(注6)。

 ▽世界精神保健連盟(WFMH)について
 WFMHは国際的な学際会員制の組織であり、すべての人びと、すべての国で最も幅広い生物学的、医学的、教育的、社会的側面で最高水準の精神保健を推進することにコミットしている。国連の諮問組織としての地位により、WFMHは世界的なレベルで精神保健擁護に従事する機会を与えられ、世界保健機関(WHO)、ユネスコ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連人権委員会、国際労働機関(ILO)などと緊密に協力している。WFMHに関する詳しい情報はwww.wfmh.orgへ。

 ▽イーライリリー(Eli Lilly Company)について
 革新志向の有力企業であるイーライリリーは世界各地の自社研究所の最新研究、優れた科学機関との協力による最新研究を利用してクラス初、クラス最高の医薬製品の増大するポートフォリオを開発している。米インディアナ州インディアアナポリスに本社を置く同社は、医薬品と情報を通じて世界で最も緊急ないくつかの医療上の必要に対する解答を提供している。同社に関する詳しい情報はwww.lilly.comへ。


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