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村上泰賢氏の「わが国産業革命のはじまり」129-日本産業革命の地・横須賀造船所―

峠と海の名称由来は共通する  

 米国トランプ大統領は「メキシコ湾」を「アメリカ湾」と替えると発表した。以前に韓国も似たような要求で「日本海」は「東海トンヘ」と改称すべきと主張した。
 実は海の名称は峠の名称と共通する要因で呼ばれることが多い。たとえば私の村の奥の川浦地区から北軽井沢に抜ける峠は「二度上にどあげ峠」と呼ばれている。峠を越えた先に昔「二度上」というスイッチバックの草軽電鉄の駅があったから、そこへ行く峠という意味の名であり、逆に二度上方面からいえば川浦地区に抜ける
峠だから、高校生の頃まだ車道が開通していなかった二度上峠に歩いて着くと、川浦峠」の道標が立っていた。同様に草津温泉から北に登って信州志賀高原の横手山の麓の峠は渋温泉へ行ける「渋峠」であり、逆に信州側からは「草津峠」。上越線の清水トンネルは、上州から越後へ抜ける「清水峠」の下のトンネルという名
であり、清水峠を歩いて越後側に越え下れば清水という集落に着く。
逆に越後側からは「湯檜曽ゆびそ峠」あるいは「水上峠」だったろう。

 街道も同様で、沼田市あたりで「会津街道」といえば沼田―尾瀬沼―会津への街道であり、逆に会津からは同じ道が「沼田街道」と呼ばれている。つまり海の名前も、峠の名も、街道の名も、これから行く先の到着地の地名で呼ぶのが通例、といえる。ではトランプ氏が言い出した「メキシコ湾」はどうか、峠の呼称と同じく、
アメリカから見てメキシコへ行く海、という意味の名であろう。

 実は遣米使節小栗忠順らに随行した甲州の医師広瀬保庵が帰国後に発刊した一行の行程を示す世界地図には、日本の西~北の海は「朝鮮海」と書かれている。日本から朝鮮へ行く海、という日本側からの呼称である。逆に朝鮮側からの呼称が「日本海」だったろう。もし韓国や北朝鮮がこだわるなら、「日本海」と「朝鮮海」
両方を併記して互いに呼び合えば、問題なかろう。その海を領有していると欲張った誤解から、取った取られたの論争が生じる。

本紙2689号(2025年6月27日付)掲載





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